デジカメで撮影した画像にマウスオーバーするだけで、F値やISO感度、ホワイトバランスなどを表示できる「Microsoft Photo Info」。メタデータの編集や“タグ付け”も可能だ。
デジタルカメラで撮影した画像をWindows XP標準のエクスプローラで閲覧する場合、サムネイルにマウスが触れると通常、「大きさ」「写真の撮影日」「カメラのモデル」「種類」「サイズ」といったEXIF情報を表示する。例えば、先日参加したとあるイベントでの写真の場合、大きさは1600×1200ピクセル、撮影日時は2007年1月5日18時43分、カメラはパナソニックの「DMC-FZ1」、ファイルの種類はJPEG、サイズは737Kバイトであることが分かるわけだ。
カメラに詳しい人であれば、知りたい情報ももう少し増えるだろう。シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランス、焦点距離などである。これらはEXIF情報としてデジカメで撮影した写真ファイルに収められている。もちろん、使用している画像ビューワによってはそうした情報を表示できるものもあるかもしれない。しかし、一番簡単な方法はWindows標準のエクスプローラで簡単に確認できることだ。そんな願いをかなえたのが、米Microsoftが1月22日にリリースした「Microsoft Photo Info」だ。
Photo Infoは、エクスプローラのアドインのように利用できる無料のオンラインソフト。1度インストールすれば、エクスプローラ上の画像をマウスオーバーするだけで詳細情報を確認できる。対応OSは32ビット版のWindows XP SP2とWindows Vista。インタフェースは英語だが日本語の入力も可能だ。
現時点で、JPG/TIF/WDP/HDP(HD Photo)/NEF/CR2/CRWといったファイル形式に対応する。なお、CRW形式ファイルに対応するには同じフォルダにTHM形式のファイルがあることが条件。このほかのファイル形式についても今後対応予定だという。
マウスオーバーするだけでインストール前は表示されなかったEXIF情報を確認できる。具体的には「Dimensions(大きさ)」「Date Photo Taken(写真の撮影日)」「Camera Model(カメラのモデル)」「Type(種類)」「Size(サイズ)」といった通常の項目に加えて、「Aperture(絞り値、F値)」「Shutter Speed(シャッタースピード)」「ISO Speed(ISO感度)」「White Balance(ホワイトバランス)」「Focal Length(焦点距離)」の合計9項目を表示するようになる。
項目 | 標準のエクスプローラ | Photo Info |
---|---|---|
Dimensions(大きさ) | ○ | ○ |
Date Photo Taken(写真の撮影日) | ○ | ○ |
Camera Model(カメラのモデル) | ○ | ○ |
Type(種類) | ○ | ○ |
Size(サイズ) | ○ | ○ |
Aperture(絞り値、F値) | × | ○ |
Shutter Speed(シャッタースピード) | × | ○ |
ISO Speed(ISO感度) | × | ○ |
White Balance(ホワイトバランス) | × | ○ |
Focal Length(焦点距離) | × | ○ |
詳細情報の確認だけでなく、メタデータの編集もできる。Photo Infoをインストールすると、右クリックメニューに「Photo Info」という項目が追加される。この「Photo Info」から、各種メタデータを加工できるようになる。
加工できる内容は、大きく「Description」「Keywords」「Origin」「Advance」「Detail」の5つのタブで分けられている。主に利用するのは、写真のタイトルや著者、説明メモなどを記入する「Description」タブだろう。Descriptionで入力したデータは、Windowsの検索にもヒットするようになる。例えば「Description」タブの「Description」で、「撮影者の名前」「日にち」「場所」など要素を抜き出して記述すれば、タグを付ける感覚で活用できるはずだ。
タグ付けという意味では本来「Keywords」を利用すべきなのだろうが、編集部で試してみたところ、Windows XP SP2の検索機能ではKeywordsの記述は引っかからなかった。Photo Infoは、International Press Telecommunications Council(IPTC、国際新聞通信委員会)の策定したデータフォーマットに準拠しており、PicasaなどIPTCのデータフォーマットに対応したソフトであれば、Keywordsの記述でも検索できる。
ちなみにPhoto InfoとIPTCでは、項目の名称が異なる部分もあるので簡単にまとめた。
Photo Info | IPTC | 日本語 |
---|---|---|
Title | Object Name | 写真の名前 |
Author | Byline | 著者 |
Description | Caption | コメント |
Description Writer | Writer/Editor | コメントを書いた人 |
URL | Contact | 連絡先 |
このほか、「Description」で入力した項目から著作権表示用のテキストも生成可能だ。具体的には、「Author」欄に「ITmedia」と入力した後に、「Generate copyright notice automatically」のチェックボックスにチェックを入れれば「Copyright (c) 2007 by ITmedia. All rights reserved.」というテキストを自動生成してくれる。このテキストは当然のことながら、ファイルのプロパティに著作権として反映されることになる。
EXIFの日付データを変更したい時は、「Origin」タブをクリック。まず「Use the EXIF capture date if available」、続いて「Adjust the EXIF capture date in the file by」のボックスにチェックすれば、日付を変更できる。「location」情報を付け加える場合も「Origin」タブで「Location」「City」「Sublocation」「State/Prov」「Country」にそれぞれ入力すればいい。
と、入力の話ばかりだったが、実際のところ何百枚とある画像データを1枚1枚入力していたのではいつまでたっても終わらない。そこで大量の画像のメタデータを一度に編集したい場合は、複数選択して右クリックでPhoto Infoを起動してみよう。
続いて、右下の「Edit as a Collection」ボタンを押すと、「Collection」モードといって複数枚のメタデータを一括登録できるようになる。Collectionモードであっても、1枚ずつ入力する「Individual」モードに右下のボタンですぐ戻れる。全体を編集しつつ、気になる写真だけを抜き出して編集することもできるわけだ。
ここまで駆け足でPhoto Infoを見てきた。EXIF情報が確認できる画像管理ソフトは多いが、編集もできるソフトは少ない。さらに、エクスプローラで違和感なく利用できる点とMicrosoft純正であることを評価したい。無料でもあるので、気になる方はチャレンジしてみるといいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.