大きさの合わないドライバーでねじをむりやり回していると、ねじの溝が潰れ、いわゆる“ねじをなめた”状態になってしまう。しかし、なめてしまったねじを回すためのドライバーや、ねじの溝の摩擦力を増やす液が販売されている。
ある日、筆者は会社で使っているPCのメモリを増設することにした。使っているThinkPadの裏ぶたを外すために本体をひっくり返し、ドライバーでねじを回したが、なかなかうまく回ってくれない。力をこめて回しているうちに、3つのねじ頭にある溝がドライバーで削られ、つぶれてしまった。
このようにねじの溝を潰してしまった状態は「ねじをなめた」と呼ばれる。ドライバーの大きさが合っていないのに無理やり回してしまった場合に起こりやすい。こうなってしまうと、そのままねじを回すことは難しい。
しかし、あきらめるのはまだ早い。こんな場合に役立つグッズが各社から発売されている。
まず、トーコマの「エアロビクス・2」は「つぶれたねじも回せる」とうたっているドライバーだ。ネジの上に立てて上端からハンマーで叩くことで、ドライバーの先をねじに食い込ませて新しい溝を作る。叩いたハンマーの力をドライバーの先まで効率よく伝達するために、ドライバーの軸はハンドル内まで貫通しているのだという。「一般のドライバーは、軸が奥まで貫通していないので力がうまく伝わらないため、ねじに溝を作れない」(トーコマ)
ねじの上にエアロビクス・2を立てて、PCを心配しながらハンマーで軽く叩いた。そのあと、ねじを回すと、ちゃんと外すことができた。1本目クリア!
ねじ穴に塗るタイプの「摩擦増強液」もある。なめたねじ穴に摩擦を生じさせることで、ドライバーとかみ合って回しやすくするものだ。今回は、コニシの「ネジやま救助隊 ネジはずし」と兼古製作所の「ANEXネジすべり止め液」を利用した。両者とも細かい粒が入っている粘体で、色は真っ黒。
2つのねじ穴に、ネジやま救助隊 ネジはずしとANEX ネジすべり止め液を塗り、一般的なドライバーで回してみた。増強液の中の粒がドライバーに引っ掛かり、「ジャリッ、ジャリッ」という音を立てながらネジが回る。これも外すことができて、2、3本目をクリア! 最後は摩擦増強液をティッシュペーパーやボロ布でふき取れば終わりだ。
このほか、摩擦増強液をつけてエアロビクス・2を使う“2本立て”も試してみた。摩擦増強液をつけずにエアロビクス・2を回した場合と比べて、摩擦感があり回しやすくなった。摩擦増強液をつけて同じくらいの大きさの一般のドライバーで回した場合に比べても、“引っ掛かり感”がある。どちらか片方だけを使ってみても難しい場合には、両方使ってみるのもいいかもしれない。
このほか、今回はねじの形状が合わないため利用しなかったが、回したいねじの形状によってはスリーピークス技研の「小ねじバイス」も有効だろう。これはねじを横から挟んで回すものだ。ねじ頭の部分に厚みがあり、つかんで回せる場合なら役立ちそうだ。
製品名 | 発売元 | 実売価格 |
---|---|---|
エアロビクス・2 | トーコマ | 803円 |
ネジやま救助隊 ネジはずし | コニシ | 650円 |
ANEX ネジすべり止め液 | 兼古製作所 | 472円 |
小ねじバイス | スリーピークス技研 | 1669円 |
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