第3回 リラクゼーションのテクニック──呼吸、言葉、飲食、対人リラクゼーションの7種の技法(2/2 ページ)

» 2007年04月10日 14時56分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
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自分を落ちつかせる言葉を見る、読む

 5つ目は「言葉」です。自分を落ち着ける言葉、リラックスする言葉を捜してください。これは人によって違います。「ゆったり、ゆったり」という人もいれば、「落ち着いている、落ち着いている」という人もいます。

 なかなか見つからないかもしれませんが、比較的落ち着いて仕事ができたとき、焦りそうだったけれど、落ち着いてできたときなどを思い出してみて、頭の中でどういう言葉が流れていたかを思い出してみてください。

 典型的なものだと、先ほどの「落ち着いている、落ち着いている」「ゆったり、ゆったり」のほかに、「大丈夫、自分はできる」などもあります。有名な斉藤一人さんは、「困ったことは起こらない」が口癖だそうです。「最後はきっと大丈夫」「最後はきっとOK」なんかもいいかもしれません。

 言葉を口に出すというのも1つの方法ですし、文字にする場合もあります。穏便の「穏」の字を書いて貼っておくと穏やかになるという人もいます。私の知り合いの泰子さんという人は、自分の名前がすごく好きで、見ると心が落ち着くそうです。また、お守りではないですが、自分の気に入ったフレーズをラミネート加工して持ち歩いて、見ると落ち着くという人もいます。

 フレーズに関して、ある寓話を紹介しましょう。王様が、その王国の最も優れた宗教的賢者を呼びつけて、「この世で最も高貴な、オールマイティな言葉の入ったペンダントを作ってくれ」と頼みました。すると、賢者はそのペンダントを作り、「本当に困ったときに、これを開いて中の字を見てください」といいました。王様はずっとペンダントを見ずにやってきましたが、繁栄していたその国が戦争になり、国が傾き始めて、崖っぷちまで追い詰められ、どうしようか、どうしようかと考えていたときに、あの賢者がくれたペンダントを思い出しました。そこでペンダントを開き、そこに書かれていた文字を読みました。そこには「This Too Shall Pass(これもまた過ぎ行く)」と書かれていました。

 「これもまた過ぎ行く」というのも、1つのフレーズですね。焦っているときに、これもまた過ぎる、と思ったら安心できるかもしれません。

人に会う、モノや動植物と触れ合う

 6つ目は「対人、対物、対生き物」。人や物、動物と接することがリラクゼーションになります。犬や猫と触れ合うアニマルセラピーが典型的な例です。もちろん、飼うことはリラックスになりますが、飼えなくても、ペットショップに寄って10分ほど過ごすだけで結構落ち着きます。熱帯魚を見ているだけで落ち着くなんてことがないですか? 水族館のイルカでもいいですね。見るだけでなく、触れられるところもあります。

 植物もいいです。近くの神社にある大きな木に触れに行くなんてどうですか? あるいは、海や山など自然が豊かなところに行く。自然はやっぱり大切ですね。自然が無理だったら、木や植物がある公園に行くだけでリラクゼーションになります。

 席や道を変えて、環境を変えるのもいい。いつも歩く道とは違う道を通る、違う駅で降りる、違う乗り物で行く、いつもと違う席に座る……こんなことがリラクゼーションになったりします。ただし、ちょっと心配だとか、不安が大きい場合はやらないほうがいいです。「ここから降りて、帰れるかなあ」と心配になったらリラクゼーションになりません。「あそこからだったら帰れる」とわかっていて、「ちょっと歩くけど自然が多いんだよな」みたいなところがいいですね。

 会いたい人に会ったり、長い間会っていない人に会ったりしてみましょう。会えないのだったら電話をするだけでもいいですね。「仲良しで結構一緒にいたけれど、そういえばここ2〜3カ月、連絡を取っていないなあ」という人がいませんか? 別にけんかしたわけじゃないけれど、ちょっとお互いに会うタイミングが合わない。向こうが会いたがっていたけど、こっちが忙しかったとか、こっちは時間があったのに、向こうが忙しかったとかで、しばらく連絡を取っていないという人。例えば、その人に今日電話をかけてみてはどうでしょう。別に何かしようというわけではなくて、「久しぶりだね。ちょっとこっちも忙しくてさ。どうしているのかな、と思って電話してみたんだよ」というような電話。それだけでもリラクゼーションになりますので、ぜひやってみてください。長々と話さなくてもいいのです。家に帰ってからじっくり電話するのではなくて、駅から家に帰る5分間くらいでもいいのです。

 あるいは、聞いてくれる人を見つけて、思いっきり愚痴るのもリラクゼーションになります。

 27歳になって初めてカメラを始めて、プロではありませんがカメラの展覧会でちょこちょこ入賞している女性がいるのですが、彼女は寝るのもカメラと一緒だそうですよ。抱いて寝ると落ち着くのだそうです。人によって、そういうものがあるかもしれません。女の子だとぬいぐるみは結構あるかもしれませんね。男性でも、自分の大事にしている身に付けるものがありますよね。例えば、それを横に置いて寝ると、「明日、これを付けて行くぞ。がんばるぞ」という気持ちになれて、意外と落ち着けるかもしれません。

好きなものを食べて、飲んでリラックス

 最後は「飲食」です。口、または口以外から身体に入れる。主に食べる、飲むことでリラックスします。毎日これをしてしまうと、3番目の「胃で食べる」部分で話したことと矛盾してしまうので、回数を決めてやってみましょう。何よりも自分の食べたい、おいしいものを月に一回でも食べることでリラクゼーションになります。カニなのか寿司なのか、刺身なのかステーキなのか分かりませんが、好きなものを食べましょう。「今日はあれを食べるんだ」と思っている時点で、その日、朝からリラックスした気分になりますね。また、食べるときは時間をゆっくり取ってほしい。30分くらいでバーっと食べるのではリラクゼーションにはなりません。

 

 飲むものでお薦めしたいのは「水」です。水道の水でいいという方もいるでしょうが、あえてここではミネラルウォーターにこだわってみてはどうでしょう。一般的な分類で、水にはミネラル分がいっぱい入った硬水と、ほとんど入っていない軟水とがあります。人によっては、癖がある硬水が好きだという人もいます。「コントレックス」が有名ですね。一方、軟水の極め付きは蒸留水です。つまりH2Oです。これはほとんど味がありません。「VIVO」という超軟水がお薦めです。水が好きだったら、試しに一度飲んでみてください。

 食べ物・飲み物ではありませんが、最近は「酸素」を吸うための機器が出ていて、酸素を吸うことでもリラックスできます。酸素スプレーには大きくは3タイプあって、通常の空気をポンプでろ過して酸素にしているタイプと、化学反応を起こして酸素を作り出すタイプ。また、小さな酸素ボンベタイプのものもあります。市販されているのは、この3タイプだと思います。

 化学反応を起こすタイプのものは100%に近い酸素を吸えます。ろ過するタイプの酸素はそんなに濃度が高くありません。私が使っているのは、小さな酸素ボンベタイプのもので1本1500円くらいでしょうか。眠気が覚めてスッキリした気分になります

 また、街には酸素カプセルがあふれています。都心にお勤めの方だったら気軽に利用できると思いますので、興味があれば行ってみるといいでしょう。カプセルに入ると気圧が少し高くなるので、気圧の変化が苦手な人はちょっと気になるかもしれません。60分4000円〜5000円くらいから利用できるようです。

 最後に、よくありますが「ハーブティ」もリラックスできます。何度も繰り返すようですが、どのハーブに何の効果があるか、ではなく、“おいしいから飲む”ようにしましょう。リラクゼーションにがんばり始めたら、リラクゼーションにならないわけです。ハーブティでも、「このにおいは嫌だ。でもこれは疲労回復の効果があるっていうから……」というようなことを考え始めるとリラクゼーションになりません。治療ではないので、「良薬口に苦し」はナシです。おいしいな、と思えるものにしてください。コーヒーよりもこっちのほうがおいしいや、と思えるくらいがいいですね。リラックスのためにハーブティを飲んでいるけれど、それがストレスになってコーヒーで口直ししなきゃいけないようでは、何もならないですね。だったらハーブティなんか飲まずにコーヒーを飲んでいるほうがいいです。

 以上のように、今回は7つの切り口でリラクゼーションの方法を紹介しました。これらは決して全部やるようなものではありません。まず読んでみて、ピンとくるものを3つ4つ選んでみてください。そして、3週間くらい実行してみて、よかったら続けるし、イマイチだなと思ったら次の方法に変えてみてください。あくまでリラックスすることが目的です。無理をしないこと。がんばったり我慢したりしないこと。「楽しいから続く」というようにしてください。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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