第4回 歩く時期・走る時期・止まる時期「成功の時期」と「成長の時期」

人生には「歩く時期」「走る時期」「止まる時期」があります。自分が今、どの位置にいるかによって、心がけるポイントも変わってきます。

» 2007年07月30日 14時24分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 前回は、人には成功の時期と成長の時期がある、ということを紹介しましたが、今回は少し切り口を変えた3つの時期を紹介します。また、自分が人生において今、どんな時期にあるのか、その簡単な把握方法を紹介します。

「歩く時期」「走る時期」「止まる時期」

 成功・成長の時期とは別の切り口で表すと、人には「歩く時期」「走る時期」「止まる時期」という3つの時期があります。

 歩く時期というのは、例えば会社で「自分の役割は何だろう」とか、「どんなプロジェクトをしようか」とか「誰と組もうかな」とか「どんなことをやっていきたいかな」などを、好奇心を持って探している時期です。いろんな本を読んだり、さまざまなジャンルに顔を突っ込んだりしています。好奇心が旺盛で、自分がやっていることも1つには決まらず、いろいろと手を出している時期です。いっぱい成功もし、失敗もする。触覚で探しているような時期です。

 歩く時期を過ごしていると、ある時期から「これだ!」というものが見つかります。すごく好きだから、という場合もあれば、マーケット自体がそれを要求して、とにかく売ってくれと向こうからいってくるから、やむを得ず──という場合もあります。

 この時期が走る時期です。この時期は、ほかを全部切り捨てて、ダッシュでガンガン行くわけです。実はこの時期、頭は全く使いません。身体勝負ですね。何をやったか分からないけど、ルーティンをとにかくこなしている感じです。大変ではあるけれど、すごくがんばっているという充実感もあるし、わーっと働いてわーっと遊んで、猛ダッシュしている時期です。

 しかし、ある時期にくると、前回ご紹介した「成長の時期」に差し掛かります。そうすると立ち止まる時期が来ます。今までは猪突猛進で走っていたのだけど、思い通りに売れなくなったとか、うまく行かなくなったとか、ガンガンやってきたプロジェクトが急に今までのようにはいかなくなった、というような時期です。その時期は立ち止まって、過去と自分と掘り下げる時期です。

 この時期にまた次のものを探し出してしまうのはダメです。つまり歩き出しではいけません。ちょっと立ち止まる必要があるのです。立ち止まって過去を見る、自分を見る。それから、やってきたことに対しての意味づけをもう一度洗い出してみる。自分を見るというのは、自分が「あの時期はあれを大事にしていたな」とか「この時期はこれを大事にしていたな」とか「あの時期はあれをないがしろにしていたな」といったことを掘り下げること、価値観を掘り下げることです。

 そして、ある程度自分の軸が定まってきたら、それに合うものはないだろうかという感じで、また歩く時期に進む。人間は歩く、走る、止まる、歩く、走る、止まる……をずっと繰り返しているわけです。このスパンは人によって違っていて、下手したら1〜2週間で来る人もいるし、3年周期という人もいます。

 「歩く・走る・止まる」は、パートナーシップにもいえます。夫婦や恋人の場合「この人、どんな人だろう」と好奇心を持って(歩く)、わーっとハマって(走る)、ちょっと距離を置いたり、お互い別のものに興味を持ったりして、なんか他人みたいに過ごしているんだけど(止まる)、またちょっと違う側面で合うんだ、と興味を持ち始める(歩く)。そして2回目の走る時期が来ますが、若い頃とは違う2人の共通点を見つけていけると、パートナーシップもうまくいきます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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