メデア商事の新人・小林ケンタは、今朝から資料作りに追われていた。そこに営業の先輩・高柳ワタルが書類を片手に近付いて来た。「これ、お前がプリントアウトしたヤツじゃないか?」──。
大手総合商社・メデア商事の新人・小林ケンタは、今朝から資料作りに追われていた。そこに営業の先輩・高柳ワタルが書類を片手に近付いて来た──。
高柳 これ、お前がプリントアウトしたヤツじゃないか?
小林 あっ、プリントアウトしたまま、すっかり忘れていました。
高柳 本当に必要なものだけプリントアウトするようにしろよ。それから「印刷ボタンを押してから、プリントアウトした書類を取るまで」を一連の動作として意識したほうがいい。
小林 あ、はい……。
ITの普及によるオフィスのペーパーレス化が叫ばれて久しいが、現実には「完全なペーパーレス化はあり得ない」という認識が一般的である。会議資料をはじめ、多くの場で「紙」が利用されている。高性能な複合機や安価なプリンタが増えてきたこともあり、印刷するケースはむしろ以前より増えているかもしれない。
むやみやたらと何でも印刷しておきながら、印刷が終わるまでの「待ち時間」の間に別の作業を始めてしまい、プリントアウトしたこと自体を忘れてしまうケースも少なくない。そして、プリンタ周囲に書類が放置されてしまうのである。
印刷の前には、まず心構えとして以下の3つを意識しよう
小林 でも、後で取りに行けばいいし、このオフィスに部外者は入れないんですから、そんなにシビアにならなくても……。
高柳 確かに部外者による盗難の心配はあまりないかも知れない。でもプリンタの周りに放置したままにしておくと、紙が散乱してほかの資料に混じってしまったり、場合によっては本来捨てる際にはシュレッダーにかけなくてはならない資料が、そのまま捨てられてしまったりする可能性だってあるだろ?
小林 なるほど……。
プリンタの周りに印刷したものが雑然と放置されている光景を見たことがある人も多いだろう。これは高柳が言うように危険な状態である。このような状態を改善する方法としては、先ほど述べた「心構え」も重要だが、他の対策として、プリンタの周りに「忘れ物トレイ」を設置してはどうだろうか?
プリンタに印刷物を取りに来た人が、そこに自分が印刷したものではない印刷物が放置されていたら、それを「忘れ物トレイ」に入れておく。こうすることで「放置印刷物」が蓄積して散乱することが減る。また「忘れ物トレイ」を多段にしておけば、種類の異なる印刷物が放置されていても、混ざらないようにしておけるというわけだ。
またプリンタ本体の前に来て、スイッチを押さないと実際に印刷できない機種もある。こういった機能を利用することも検討する余地があろう。
かつてはよく利用されていたが、バナーページ(ヘッダページ)を印刷する方法もある。印刷するごとに、印刷したユーザー名の書かれたバナーページがまず印刷されるというものである。これは印刷のたびに紙を1枚消費することから、エコロジー的な観点からはあまりお奨めできる方法ではないが、何かのアイデアにはなるかもしれない。
セキュリティ関連の話題を中心に執筆中のフリーライター。翻訳(英語、韓国語)やプログラミング、システム構築等コンサルなど活動は多岐に渡る。JPCERT/CC専門委員。Webサイトはこちら。
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