PCを買って最初に買うパッケージソフトと言えば年賀状印刷ソフト。しかし年々利用者の年齢が上がっている。ネットに慣れた若い層に向けて、年賀状のオンラインサービスも本格始動し始めた。
年賀状作成ソフトとして高いシェアを持つ「筆まめ」。年賀状作成ソフトは、PCの普及期からパッケージソフトとして長い歴史を持ち、筆まめも9月14日にバージョン18が登場。実に18年間にわたって改善が繰り返されてきた。
しかしネットの普及に伴い状況も変わってきた。「パッケージソフトという提供方法に課題がある。伸び率も鈍化してきた」と、クレオ筆まめサービス事業部ネットサービスグループの児玉修司課長は話す。
「パッケージソフトを、そもそも買ってくれない。買ってもインストールしなくてはならないのが課題になっている」
これは筆まめだけでなく、多くのパッケージソフトに共通の課題のようだ。特に若い層にこの傾向が強い。逆にいえば、パッケージソフト利用者層の年齢が上がっている。筆まめのユーザー調査によると、75%以上が40歳以上。50歳以上が占める割合も50%を超えている。女性比率も低く、80%以上が男性というのが実情だ。
「ネットサービスに抵抗感がなく、結婚を機に年賀状を出す層に使ってもらいたい。我々としては新しい“筆まめ”だと捉えている」
児玉氏がこう意気込むのが、β版として提供を始めて約1年となる「筆まめonline 年賀状印刷」だ。Webサイト上でデザインを調整し年賀状を作ることができるオンラインサービスである。
これまで筆まめで培ってきたハガキデザインやユーザーインタフェースのノウハウを基に、Flash技術を使い、PCの環境にかかわらず利用できるものとした。あまりに多くの機能を盛り込んで複雑になったパッケージ版とは違い、必要な機能だけに絞り込むという仕切り直しも行っている。ユーザー登録も必要なく無償で利用できるなど手軽さにも気を使った。
結果、やってきたユーザーは狙い通りの層だった。女性比率は50%以上、40歳以下が約半数を占めた。これまでパッケージソフトが取り逃していた層に評価されたわけだ。
10月1日に公開した新バージョンでは、従来行えなかった自宅のプリンタでの年賀状印刷にも対応した(1050円)。また外部の印刷注文サービスでは、光沢紙を使うことも可能にした。
パッケージからオンラインサービスへ。特にネットに慣れた若いユーザーの嗜好が変化するなか、年賀状印刷も変わりつつある。
ただし提供方法だけでなくビジネスモデルも変わるなか、機能の面で中途半端な部分があるのも確かだ。例えば筆まめonlineでは「宛名印刷のための住所をオンライン上で入力することは想定していない」(児玉氏)。住所入力はオンライン上でも可能だが、郵便番号を入力しても対応する住所が表示されないなど、あえて機能を絞った。既存の住所録ソフトなどで入力済みのデータを読み込ませて(アップロード)、Web上では修正作業だけを行うことを想定しているという。
これは同社が筆まめonlineを、個人情報を登録して管理するサービスではなく、年賀状などをしっかりデザインして印刷するためのものと位置づけているからだ。
そのため2008年中には、アドレスデータを筆まめonlineに読み込ませるためのAPIや、作成した印刷データを外部から読み出せるAPIを公開していく予定だという。「アドレス帳サービスを提供しているところに、ぜひ使ってほしい」(児玉氏)
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