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» 2007年10月02日 15時30分 公開

テレビ会議で陥りやすい4つの問題点樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

テレビ会議が一般企業において使われるようになって、すでに20年近くになる。最初は、伝送速度が遅すぎて映画のコマ送りように見えたが、急速に高速回線が普及しテレビ会議の諸問題もすぐに改善されていった。だが、テレビ会議の問題は依然として残っているのだ──。

[樋口健夫,ITmedia]

 テレビ会議が一般企業において使われるようになって、すでに20年近くになる。最初は、伝送速度が遅すぎた上に画像処理も悪くて、映画のコマ送りように見えた。せいぜい超スローモーションで再生した映画のようだった。その後、急速に高速デジタル回線が利用可能となったのは周知の通り。テレビ会議の諸問題もすぐに改善されていった。だが、テレビ会議は予測よりも利用が伸びなかった。

 テレビ会議は、社内の拠点間あるいは海外との打ち合わせを簡単に済ませられるので、使えば便利なことは分っている。ベンダー側のうたい文句も、テレビ会議で出張費を大幅に削減できるというものだった。会議では最新機器を使う人も使わない人も混ざるので、誰もが使えるようになるにはある程度の時間が必要だ。

 しかし、もっと根本的なところで、テレビ会議の普及が遅くなった理由があったのではないか。筆者は、テレビ会議と出張とは仕事の進め方に違いがあった、と考えている。そこで今回は、テレビ会議を利用するときに陥りやすい問題点を考えてみよう。

技術的な問題

 当初テレビ会議を開くには、必ず機器の操作や調整ができる専門家が立ち会う必要があった。会議は何カ所かで行うために、すべてのポイントにおいて専門家がテレビ会議の機器を操作し、調整することが不可欠であった。機器の操作や調整は徐々に簡単になっていったが、こうした機器の取り扱いの煩雑さが古くからの社員の印象に残っているものだ。

 SkypeのようなインスタントメッセンジャーとWebカメラを組み合わせれば、あっという間にテレビ会議も可能だが、会議には技術レベルの異なる参加者も多いことは先ほども述べた。役員たちにSkypeの取り扱いができるだろうか。結局は社内専門家によるサポートが必要になるかもしれない。

目線

 テレビ会議で気にしたいのが目線だ。ついついテレビを見てしまい、カメラに目線を送れなくなる。つまり相手の画面には、顔を見ないで横むいて話しているあなたが映るわけだ。実際目にすると、すごい違和感を感じた。これはテレビ画面の前上や前下に、カメラを配置することである程度改善できるが、厳密には視線が外れている。理想的なカメラのポジションは大型テレビ画面の真ん中だと考えるが、邪魔でもある。真ん中に設置できなくとも、できるだけカメラを意識しながら話すといいだろう。

口論

 筆者が経験した何回かのテレビ会議で驚いたのは、テレビ会議で興奮し、どんどんエスカレートする人がいることだ。相手がテーブルの向こう側に座っている会議なら絶対に取らない態度も、テレビ会議では見せる人もいる。きつい言葉を言いのけて、参加者全員が唖然とするシーンもあった。テレビ会議は車を運転することと似ているのかもしれない。

 相手が同じ部屋にいないテレビ会議は取っ組み合いの喧嘩はできない。しかし、議論は激しくなる傾向がある。議論ならまだしも文句の応酬になることもあった。画面外からの野次まで「今言ったの誰だ」とエキサイトする会議も体験した。これでは会議が終わった後、誰もが血圧を上げてしまう。「将来、テレビ電話が普及したとしても、自宅には絶対に欲しくないな」と参加者全員が誓うのだ。

 できるだけ口論にならないように、現実感を失わないことが重要だ。例えば、ちょっとキレそうになったら、こちら側の拠点に座っている自分の同僚をちらっと見ること。中には、のんびりと居眠りしている人もいるかもしれない。そうした風景で自分を落ち着かせてみよう。

実際に会うこと

 10年近く通信会社の営業として仕事をしてるときに気が付いたが、固定電話や携帯電話やメールがどんなに普及していても「実際に会う必要性はなくならない」ことだった。逆に電話やメールの普及が進めば進むほど、仕事では相手と面談する必要がでてくるものだ。こちらが相手に何かを採用してもらったり、買ってもらったりする場合、つまり営業をかけているときには特に心が通じにくい。

 もちろん、テレビ会議でごまかしていた下心も実際に会うと見透かされてしまうこともある。テレビ会議以上に誠意をもって会うべきだろう。


 対面コミュニケーションを図るために出張を企画しても、時間的な問題や人的リソースの上で出張が認められない状況もある。また日常であっても打ち合わせの数が多い場合は、場所を移動する時間を削減するためにもテレビ会議が効果的だ。もちろん、テレビ会議だけでビジネスが完結すると思っていては、足元をすくわれることになりかねない。使わざるを得ないのであればこそ、今回ご紹介した4つの問題点に留意して、前向きに利用してみてもいいのではないか。

日本HPのテレビ会議システム「Halo」。世界中にあるオフィスの27カ所にあり、外部に販売もしている。右の写真で、真ん中はシリコンバレー、右はシンガポールとそれぞれ通信している。世界中のオフィスのどこを呼び出し、どこを映すかは上部の画面で操作する。現在は6席のうち真ん中の2席を映している(日本HPの関連記事

今回の教訓

樋口流テレビ会議術:技術と目線とロジカルトーキング──それでもだめなら、お会いしましょう。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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