リストの数だけ仕事が変わる──『リストのチカラ』5分で読むビジネス書

「うまくいったパターンを残し、繰り返す」。この実践形がリストである。数々のリストを紹介するだけでなく、自分なりのリストの作り方も理解できる。Biz.IDでもおなじみの連載が書籍化。

» 2008年03月04日 10時31分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

堀内浩二『リストのチカラ [仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術]』(ゴマブックス刊)

 集めて、束ねて、固める。山の中から枝を拾い集めて、束ねて、ぎゅっと圧縮して、数本のたいまつを作る。そんな様子をイメージしてください。

 頭の中から知恵を拾い集めて、束ねて、ぎゅっと圧縮してリストを作る。暗く広大な脳内にうずもれている知恵や経験を、あるいは見えない行く手を、照らし出すたいまつを作る。それが「リスト化」という作業なのです。(p.150)


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 本書のことは、Biz.IDの連載「リストのチカラ」でご存じの方もいるかもしれない。前半では、「リストとは何か」の定義づけを皮切りに、古今東西の名著や著名人によるリストを紹介しながら、リストという概念をビジネスの視点で再定義する。後半では、リストを作るための具体的な方法が解説されている。読んだその日から、というより読んだそばから仕事を見直すためのヒントが得られるはずだ。ヒントというより、見直す方法といってもいい。

 リストとは「再現率」を限りなく100%に近づけるためのツールであると同時に、そのプロセスそのものといえるからだ。

 仕事のスピードとクオリティーを同時に引き上げる上では、次の2つのアプローチがある。

  1. うまくいったパターンを残し、繰り返す
  2. うまくいかなかったパターンを排除し、封印する

 「再現」とは、1を指す。このアプローチの実践形がリスト化ということになる。「集めて、束ねて、固める」とは、残すべきものと排除すべきものとを明確に分けるための過不足のない工程である。つまり、リスト化しようとする試みこそが、再現性を生み出す行為それ自体となるわけだ。

 この「リスト化」自体もリスト化することができる。そのままだが、次のようになる。

  1. 集める
  2. 束ねる
  3. 固める

 プログラミングの経験をお持ちの方であれば、このリスト化という作業にはなじみが深いことだろう。リスト化とはプログラミング作業の核となるからだ。

 プログラムは一度作ってしまえば、同じ処理を正確かつスピーディーに繰り返し実行することができる。また、作り方次第だが、一部を入れ替えるだけで、異なる要求に対応できるプログラムに早変わりする。

BOOK DATA
タイトル: リストのチカラ
著者: 堀内浩二 著
出版元: ゴマブックス刊
価格: 1575円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: リスト使って仕事を改善しようと考えている個人やチーム。

 リストも同様だ。一度作ってしまえば、「集める」作業や「束ねる」作業は不要となる。例えば、あなたのチームに新しいメンバーAが入ってきたとしよう。このとき、チーム内に適切なリストがあれば、Aはこのリストを参照しながら、既存のチームメンバーと同等のスピードとクオリティーを実現できるだろう。

 最後に、筆者が本書から引き出したリストを紹介しておく。

リストとは

  • リストはビジネスパーソン同士で受け渡し可能なプロトコル
  • リストは必要に応じて自在にサイズを調節できる(抽象化によって項目を圧縮可能)
  • リスト化できないことは、きちんと理解できていないこと

リストを仕事にうまく活用するための4つのコツ

  • 普段から自分の仕事をリスト化しておく
  • 本を読んだり人から話を聞いたらリストに“圧縮”しておく
  • リストは目的に応じて使い分ける
     ・毎日チェックしたいリスト
     ・必要に応じて見返したいリスト
     ・手帳に転記して時々眺めたいリスト
  • 毎週のミーティングで作ったリストを交換・批評しあう

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