レビュー
» 2008年05月27日 14時07分 UPDATE

5分で読むビジネス書:「本当の実力」を発揮できているか?──『「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方』

ほとんどの人が本当の実力を発揮できていない。その原因は感情をコントロールできていないから。シンクロナイズドスイミング銅メダル獲得の著者が、体験を元に対処法を語る。

[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

田中ウルヴェ京 著 『「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方』(フォレスト出版刊)

 怒りたければ怒ってもいい。しかし、後で取り返しのつかないことにまで事態を悪化させることは、結局本人が損害をこうむることになるので、コーピングが必要なのです。

 感情のコントロールは「感情の抑制」ではありません。ときどきコントロールを「抑制」と理解する人がいますが、正確には「調整」なのです。コーピングの中で大事なのが「自分で調整しているかどうか」です。(中略)コーピングスキルを学んで、自分のビクビクしたり、ドキドキしたりする感情が起きる「その理由がわかっている」ということが大事なのです。それが「コーピングで感情をコントロールする」という意味です。(p.52)


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 1988年のソウルオリンピックのシンクロナイズドスイミングで銅メダルを獲得した実績を持つ著者が、引退後に体験した挫折と、そこから立ち直る過程で得た学びをベースに「本当の自分のあるべき人生」を進んでいくための考え方とその方法論を説く。

 著者はまず現状を次のようにとらえる。

 ほとんどの人が「本当の実力」を発揮できていない。

 原因は感情をコントロールできていないからであるとし、感情をコントロールすることが「本当の実力」を発揮するための手段であり、その先に「本当の自分のあるべき人生」が見えてくる、というわけだ。

 では、どうすればいいか。そのカギとなるのが「心の4つのサイクル」だ。

サイクル 状況
1. 刺激 ストレスの原因となる状況などのこと。「プレゼンテーションがある」「怒る人がいる」などといった状況。
2. 評価 思考のフィルター。刺激をどのように受け止めるかを自分で決める部分。
3. 感情 評価を通ってきたものが感情に反応として出てくる。身体反応から感情に出ることもある。
4. 身体 評価を通ってきたものが感情を通り、身体反応に及ぶ。または直接、評価から身体反応で表れることもある。

 この中で要となるのが「評価」。つまり、刺激をどのように認識するかによって、これに続く反応も変わってくる。そこで、この「評価」を改めればいいことになる。そのためのスキルがコーピングだ。コーピングとは「対処する」という意味の動詞「cope」にingを付けたもので、次の3つの手法があるという。

  1. 言葉を使ったコーピング
  2. 心理調整術を使ったコーピング
  3. 身体を使ったコーピング

 言葉を使ったコーピングの例として、「セルフトーク」(独り言)が挙げられている。セルフトークにもいくつか種類があるが、「過去の失敗を繰り返すのではないかという人のためのセルフトーク」は次の通り。

  • 状況 過去の失敗を思い出し始め、「ああ、どうしよう、また失敗をしたら……」とおじ気づいた時
  • セルフトーク 「過去に起きたことは、その過去の時点で起きただけのこと。今の自分に起きるものではない」
    「過去に起きた失敗が、今の自分に起きる確証は何もない」
    「もはや自分は過去の自分ではない」

 このように、状況ごとに自分に言い聞かせる(実際に口に出さずとも心の中でつぶやくだけでもいい)言葉を用意しておくわけだ。こうした言葉は、ネガティブな刺激を「評価」の段階で中和して、「感情」や「身体」にその波紋が及ぶのを防いでくれる。

BOOK DATA
タイトル: 「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方
著者: 田中ウルヴェ京
出版元: フォレスト出版
価格: 1470円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: 不安で仕事が手につかなくなることがある人

 「評価」は無意識のうちに行われているため、こうして言葉として顕在化させることで、矯正させるわけだ。

 ほかにも「心理調整術を使ったコーピング」としては、ペーパークリップや輪ゴムを使ったトレーニングが、「身体を使ったコーピングとしては、呼吸法や歩き方やストレッチ方法などが紹介されている。いずれも、イラストをふんだんに使って解説されているため、イメージがわきやすいはずだ。

 「本当の自分のあるべき人生」などと聞くと、途方もないことのように感じるかもしれないが、一朝一夕では成し遂げられないことであるなら、一歩一歩進んでいくほかはない。本書はそのための具体的な方法とやってみようという気にさせる一冊といえるだろう。

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不安 | 考え方 | ストレス


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