非常時の飲料水確保だけじゃない――災害対応自販機でCSR、ダイドーが提案SECURITY SHOW 2008

緊急時に鍵なしで飲料を取り出せる自動販売機がここ数年増えてきた。SECURITY SHOW 2008に出展していたダイドードリンコは、災害対応自販機にCSRの考えを組み合わせた。

» 2008年03月05日 17時59分 公開
[鷹木創,ITmedia]
ダイドードリンコでも、2005年から災害対応自販機「災害救援ベンダー」を提供。大きさは999〜1160×650〜750×1830ミリ(幅×奥行き×高さ)、重さは飲料が入っていない状態で約300キロ

 緊急時に鍵なしで飲料を取り出せる自動販売機がここ数年増えてきた。SECURITY SHOW 2008に出展していたダイドードリンコでも、2005年7月から災害対応自販機「災害救援ベンダー」を提供している。

 災害対応自販機の特徴は、災害時に無料で自販機内の飲料が取り出せるようになること。実は、この「災害モード」への変わり方で、いくつかタイプがあることをご存じだろうか。1つは災害が発生すると、遠くの災害センターから無線通信によって、災害モードに変わるタイプ。もう1つは、自販機の管理人が手動で操作して災害モードに変えるタイプだ。

 一見、無線通信によって変わる前者のほうが人手もかからず、技術的にも優れているように思える。だが、ダイドーでは手動タイプを採用した。

 「被災者ひとりひとりに飲料水が行き渡ることが大事なんです」。SECURITY SHOW 2008でダイドーブースのスタッフはそう言う。無線通信で災害モードに変わるタイプは、そばにいた人間が自販機の中身を独占することもできる。いわば早い者勝ちなのだ。一方、人手を介す手動タイプは、災害モードに変更する時に必ず自販機の管理人が存在することになる。そのため、中身の取り出しが必ずしも早い者勝ちではなくなる――というわけだ。

管理人には災害モードに切り替えるための鍵を用意。自販機の前面の鍵穴に差し込んで、モードを切り替える

 もちろん、自販機の管理人にだって独占してしまう人もいる。管理人側に「災害時には自販機を解放する」という、何らかの“責任”を感じさせることはできないだろうか。

 そこで、ダイドーでは災害救援ベンダーを企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の一環として設置するよう呼びかけている。つまり、社会のよき構成者たるべく努力する企業であれば、災害時には率先して自販機を解放するはずだからだ。

 自販機内には500〜600本の缶飲料を入れられる。災害モード時は搭載されたバッテリーで48時間稼働可能だ。ダイドーでは、設置する企業に対して独自に協定を結び、災害時に取り出された飲料水分のコストはダイドー側で補てんするという。

 こうした災害対応自販機の認知度が向上すれば、設置する企業にしても、置くだけでイメージアップにつながる可能性もある。地震や大雪、大雨、火災などの災害はいつ起こるか分からない。こんな自販機をあなたの会社に置いてみてはいかがだろうか。

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