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» 2008年03月12日 11時30分 公開

研修で教えてくれない!:第39回「年度末予算で何を買う?」

「年度末なんでPCの中のデータを整理しようかと思って、いろいろと見ていたら、何を残して何を消したらいいか、よく分からなくて」「それにしても、そもそもデータをPCのディスク上に保管しておく必要ってあるのかな」

[山賀正人,ITmedia]

 大手総合商社・メデア商事の昼休み――。営業部3課の新人・小林ケンタはデジカメで撮った写真をPCで見ていた。そこに課の先輩・高柳ワタルが近づいてきた。

高柳 何見てるんだ?

小林 年度末なんでPCの中のデータを整理しようかと思って、いろいろと見ていたら、出張先で撮った写真が出てきて、ついつい懐かしくなって。

高柳 そうか……、年度末だもんなぁ……。オレも整理しないといけないな。

小林 でも何を残して何を消したらいいか、よく分からなくて。

 最近のHDDは容量が増加しており、一般的な業務で用いられるワープロや表計算ソフトのデータ程度であれば、ディスク容量が足りなくなるのを心配して、こまめに不要なデータを削除するといった必要はほとんどないかもしれない。

 しかし情報管理の観点から言えば、必要以上に膨大な情報をPC上に保持していると、どんな情報がPC上にあるか把握しきれないため、何らかの事故によって、それらの情報が漏えいしたり、紛失したりした場合に、適切な対応が取れない恐れがある。

 したがってPC上には自分が把握しきれる範囲のデータだけを保持し、それ以外は削除するか、CDやDVDなどの外部メディアに移動しておくとよいだろう。

高柳 小林の場合は、少なくとも出張先で撮ったデジカメのデータは、ほとんどが私的なものだろうから、そういったものは削除するか、必要であればCD-Rに焼いておけよ。

小林 そうですね……。写真は出張報告に使っただけで、もうこれから業務上使うことはないですし。

高柳 それから既に完了した仕事に関するデータもCD-Rに焼いて保管しておいた方がいいな。

小林 なるほど。でも業務で使ったデータを保存したCD-Rってどこに置いておけばいいんですか? 机の引き出しってわけにはいかないと思うんですけど……。

高柳 機密情報が含まれているものは、情シスが管理しているデータ保管庫に入れておけばいい。そのあたりの管理基準の細かいところはセキュリティポリシーを見てくれ。

小林 了解しました。

高柳 それにしても、そもそもよ〜く考えてみると、データをPCのディスク上に保管しておく必要ってあるのかなあ……。

小林 ?

 情報管理の観点とは別に、PCに何らかの不具合が発生したことを考えてみよう。その場合、OSを再インストールする可能性があるが、その際に、もしPC上には必要なアプリケーションがインストールされているだけで、メールのデータを含めて、作成したデータなどがすべてネットワーク上のファイルサーバにあれば、PCの復旧は非常に簡単に済むはず。もちろんブラウザのブックマークなどもファイルサーバ上に保存されていればいいわけだ。

 また、この場合、データそのものがPC上にないので、PC本体が盗難に遭っても情報漏えいの心配が(ほとんど)ないというメリットもある。

 しかし、データがファイルサーバ上で一括管理されるとは言っても、自分で把握しきれないデータや不要なデータをそのまま残し続けてよいというわけではない。

高柳 そうだ! 年度末の予算で、ウチの課専用のNAS(ナス)を買ってもらおう。今なら1Tバイトでも5、6万で買えるし。ちょっと情シスにかけあってみるよ。

小林 ナス?

 NAS(Network Attached Storage)は、ネットワークに直接接続して使用するファイルサーバ専用装置であり、専門的な知識がなくても、PCのWebブラウザ経由で簡単に管理できる。家庭用の簡易な製品から、RAID機能やホットスワップ機能を備えた安全性、安定性の高い業務用製品までさまざまな種類が存在する。

小林 でも既にファイルサーバがあるから、データをすべてそっちに移動して、メールフォルダをファイルサーバ上に設定すればいいだけなんじゃないですか?

高柳 まぁ、そうだけど、あのファイルサーバは営業部内でのデータ共有が目的のシステムだから、ユーザー個人のデータ保存には使えないんだよ。

小林 あ、そうか……。でも、導入したNASの管理は情シスがやるんですよね? それでなくても忙しい情シスが、管理対象を増やすことに同意してくれますかねぇ……。

高柳 ま、それは説得の仕方次第だな。PC上にデータを一切保持しないようにすれば、万が一の再セットアップも簡単だし、機種更新のときも簡単だし。

小林 そういえば、そろそろ機種更新って話を聞きました……。

高柳 だろ? だから今がチャンスってわけだ。

小林 高柳さんって、こういう時は頼りになりますね〜。

高柳 ん? なんだって!?

小林 さすが、ってことですよ(笑)

著者紹介 山賀正人(やまが・まさひと)

セキュリティ関連の話題を中心に執筆中のフリーライター。翻訳(英語、韓国語)やプログラミング、システム構築などコンサルなど活動は多岐に渡る。JPCERT/CC専門委員。Webサイトはこちら


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