「社長」の課題から学ぶ── 『社長の時間の使い方』5分で読むビジネス書

社長に向けた時間管理術――。とはいっても、自分を自分自身の会社の社長だととらえれば学ぶべきところも変わってくる。一歩上から自分を見つめ直すための一冊。

» 2008年04月01日 10時54分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

吉澤 大『儲かる会社にすぐ変わる! 社長の時間の使い方』(日本実業出版社刊)

 「会社は成長したはずなのに、なぜか以前よりも利益実感がない」「夜中まで働いているのに、手許におカネがない」という多くの嘆きに、顧問税理士として向き合ってきました。

 多くの業種を比較対照することで出した結論が、問題の原因は「固定費のスパイラル上昇」にあり、目指すべきは「時間効率にこだわった経営」というものだったのです。この考え方がすべて正しいと言うつもりはありません。多くの悩める中小企業にとって、「一つの選択肢」を提供したく、この本を書きました。(p.202)


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 社長に向けて書かれた社長のための時間術──。こう聞くと「自分には関係ない」と思う人もいるかもしれない。そこで、本書が対象としている「社長」がどのような人のことを指すのか、その特徴を拾ってみよう。

  1. 借り入れについて個人保証をしている
  2. 従業員が犯したミスの責任もすべて負う
  3. 「夜中まで働いているのに、手元におカネがない」と感じている
  4. 自らコントロールできる時間領域が大きい
  5. ビジネスに対する決定権が大きい

 ざっとこのような人が「社長」である。裁量が大きい分だけ相応のリスクや責任が重くのしかかるが、それに比して見返りは乏しいという実態が浮かび上がってくる。一言でいえば「困っている人」だ。

 著者によれば、この「困っている」原因を取り除くカギは「時間の使い方」にあるという。しかも、「社長」は裁量の面で社員よりもはるかに有利な立場にいる。自分次第なのだ。

 一方、「社長」ではないあなたも、会社を離れれば「自分」という会社の「社長」である。先の特徴に合わせて書き換えれば次のようになるだろう。

  1. 自分の借り入れについて個人保証をしている
  2. 自分が犯したミスの責任を負う(「自分」という会社の従業員はいうまでもなく「自分」だ)
  3. 「夜中まで働いているのに、手元におカネがない」と感じている
  4. 自らコントロールできる時間領域が大きい
  5. 人生に対する決定権が大きい

 多少こじつけているところもあるが、要するにとらえ方次第で見え方は変わるということだ。職位や立場は会社次第だが、とらえ方は自分次第で変えられる 。そして、とらえ方が変われば、現実の見え方も変わってくる。実際に社長の肩書がない人でも、本書を読み進めていく過程で「自分」という会社の「社長」として学ぶべきことを見いだせるだろう。例えば、次のような項目だ。

  • あなたは「ビジネス版メタボリック」にかかっていませんか?
  • いつまでもワクワクする仕事に取り組むためには?
  • 自分の時給を意識しながら行動していますか?
  • マニュアルを作っていますか?
  • 本を読みっぱなしにしていませんか?
BOOK DATA
タイトル: 儲かる会社にすぐ変わる! 社長の時間の使い方
著者: 吉澤 大 著
出版元: 日本実業出版社刊
価格: 1470円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: 「自分」という会社を経営を改善したいと考えている「社長」。

 もう1つ。社長ではないあなたも、仕事においては「社長」を相手にすることもあるだろう。直接「社長」とコンタクトしない場合であっても、先方の担当者は「社長」のミッションの一部を背負って仕事をしている。

 そうなると、「社長」がどんなことで困っているのか、どのような課題を抱えているかを知っておくことは、そこにあなた(の会社)の“商品”を提供できる余地を見つけ出す上で役に立つだろう。そしてそれは担当者を介して「社長」の課題に応えることになる。

 なお、著者は税理士として「社長」の課題を解決に導く「社外担当者」の役割を担っている。同時に自身も「社長」である。そんな「社長」のプロフェッショナルからあなたは何を学び取るだろうか。

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