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» 2008年04月15日 16時55分 公開

アイデア創発の素振り:SCAMPER法――「10分以内にアイデア3つ出さなきゃ」をかなえる方法 (3/4)

[石井力重,ITmedia]

素振りしてみた――今回のお題「自動販売機の新製品アイデア」

 筆者が実際に「自動販売機の新製品アイデア」というテーマでアイデア出しを行った。あなたは、読むだけで「素振り(発想法の疑似体験)」ができるはずだ。もしあなたも実際に素振りしてみたら、ぜひトラックバックやコメントをいただきたい。

 紙面の都合上、最後の「R」だけで発想した(全部やると紙面が長すぎて編集部からしかられるのだ)。

SCAMPERの質問リスト 筆者の素振り
R1)ほかに、どんなパターンが使えるか パターン? ちょっと今回は適さない質問かな。パス。
R2)ほかに、どんな配置が使えるか 配置? ああ、じゃあ、横並びじゃなく、縦積みのできる自動販売機って、どうだろう。入る本数は少ないけれど、きっとこれまで置かれなかったスペースに設置できるだろう。
R3)ほかに、どんなレイアウトが使えるか レイアウト? この課題の場合は、配置と意味が一緒に思える。パス。
R4)何を交換できるか 交換? 交換できるものって……。販売機はお金と飲み物の交換だよな……。あ、そうか、アンケートと飲み物の交換ってどうだろう。テスト販売専用の自動販売機。飲んだその場でアンケートに答えられる機能が付いている。タッチパネルでアンケートに全部答えると、おつり返却口に、商品代金が戻ってくる。
R5)何を置換できるか。言い換えられるか 置換? 販売機を置き換えては意味がないだろう。いや、待て……あ、そうか。自動販売機じゃないものを自動販売機に置換すればいいんだ。でも、なんだろうそれって。町中にある四角くて大きいもの。あ、そうだ、郵便ポスト。ポスト一体型自動販売機。キツイかな、こりゃ。でも一応アイデアかな。
R6)何を、再結合できるか 再結合? さらにくっつけるの? じゃあ、縦積みの自動販売機とポストをくっつけてポスト型自販機というのはどうだろう。ポストは新しくしないで既存のポストに上積みできるという仕様にする。そうだ、ついでだから、「はがき・切手・ペン・のり自動販売機」ってどうだろうか。投かん直前に「あ、差出人を書き忘れた」という人が、結構買うんじゃないかな。缶ジュース型のケースに入れれば通常の販売機でも、できるかもしれない。
R7)逆にしたらどうなるか 逆? 販売機を反対にしたら……購買機。資源を自動で買い取る装置かな。この場合はタバコみたいに、IDカードなど、社会システムも同時に開発したいな。
R8)上下逆さまにしたらどうなるか 上下逆さ? 販売機を逆さにしたら、出てこないよな。どうしたらいいかな。いっそのこと、取り出し口がどこの高さでも可変にするか。そうだ、差し出した人の手の高さにロボットアームで手渡しするロボ販売機。
R9)内外を裏返したらどうなるか 裏返す? 販売機の裏って、コンプレッサーだ。熱風が出るだけだな。熱風……あ、そうか、夏場に200円で「冷気を売ります」っていう販売機はどうだろう。形は電話ボックスのような形状で200円を入れると冷風を30秒ほど吹き付ける。真夏のスーツは地獄だから結構ニーズがあるかも。冬は温風で。

 ――こんな感じで、さくさくアイデアが出る。初めてやる時には、もっとパスしてもいい。48のリストを素早く見ていって、「あ、これっ。関係しそう」と、引っかかるものが3つくらいあれば、それでよい。なお、SCAMPERは2度目以降は驚く程素早くできる。

グループワークのススメ

 リストをうまくカード状に印刷して、テーブルの上に広げてかるたのように、みんなでわいわいやりながら、アイデアを言い合うのも楽しい。筆者がこれまでおこなったユーザーテストでは、広い年齢層でアイデア出しの促進を確認した。

 SCAMPERは“発想のスパークプラグ”と言われている。日本では7つもしくは9つのリストがよく知られている(リストのチカラ 第10回)。ブレストを作ったオズボーンとその流れをくんだ一連の人々はSCAMPER手法を発展させて48の質問リストにして、アイデア出しのツールにした。

 しかし、この48のリストは、日本ではあまり目にすることがない。そこで、筆者のチームがツールを開発する際に和訳したのが先のリストである。SCAMPERはどこまでの有効性があるか。これまで筆者の検証した範囲では、優れたアイデアのエッセンスの多くは、この48のどれか当てはまっている。興味深い。

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