ナンバー2だっていいじゃないか――三三・角川素久さんが考える起業とは達人の仕事術(1/3 ページ)

三三で、経営管理と名刺データベース「Link Knowledge」のオペレーションを兼務する角川素久さん。「いつかは起業したい」と憧れて果たしたが、「自分は社長タイプではないかもしれない」とも迷うという。そんな角川さんの起業とは――。

» 2008年05月27日 20時00分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 慶應義塾大学環境情報学部から、大手コールセンター事業者の営業に。営業部きってのエースとして活躍し、当時の社長にも見込まれ、経営企画室に異動。将来の経営幹部候補として期待されるも、中小企業診断士の資格を取得して、あっさり退職。その後、大学時代の仲間とともに起業する――。

 まるで絵に描いたように出世したのが、名刺データベース「Link Knowledge」を提供する三三の取締役、角川素久(つのかわ・もとひさ)さんだ。だが、「ビジネス上の判断を仰げる上司がいると、最終的にはどこかで頼ってしまう」という。強い自信があって起業できたわけではない。そんな角川さんの起業とは、どういうものだったのだろうか。

補欠合格、最高じゃないですか

 35歳で仲間とともに起業したという父親の影響もあって、社会人になってからもただの勤め人で終わるつもりはなかった。「新入社員の時に10年後の自分を考えました」。そのイメージは、「独立してプロジェクトを立ち上げている」というものだったという。

 男なら自分で商売したい、と思っていたが、実際に会社を退職したのは9年目。10年目のタイムリミットぎりぎりだった。

 「仕事が忙しく、余裕がなくて、なかなか転職の準備ができませんでした」。入社してから配属になった営業部、続いて異動になった経営企画室、いずれも多忙を極めた。「飽きっぽいから、いろいろなことをやりたい」という希望はかなったが、時間は足りなかったというわけだ。結局、最後に経理部に配属されるまで、中小企業診断士の資格を勉強する時間は持てなかった。

 自分の知らないことを学ぶのが最も効率がいいという理由で、中小企業診断士の勉強をしようと決めた。学習時間は「月100時間を目指した」という。平日2時間、土日各10時間を勉強に当てれば、120時間ほどの勉強時間が確保できると踏んだ。「もともと怠け者だと思ってますから、自分を追い込んだのです」

 受験を乗り切る「作戦を考えるのが好き」だという。基本的な作戦は、自分の確保できる時間や資金といったリソースを集中させること。大学受験で受けた学部も英語と論文だけを勉強すればいいから選んだ。「補欠合格、最高じゃないですか。最短距離で受かることを考えました」

 とはいえ、現実的な問題もあった。「受験勉強の時にあれだけ勉強して、今できないのは恥ずかしい」と決意して臨んだが、実際には平日の勉強時間は1時間ほど。昼休みの30分ほどを使って勉強していたが、それでも平日に勉強するのは難しかった。その分、休日に勉強したのだが、正直「能率はよくなかったかもしれない」と苦笑した。

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