公開初日に800万ダウンロードという大成功を収めたFirefox 3。米国からMozilla CEOのジョン・リリー氏が来日し、コードネーム「SHIRETOKO」と呼ばれるFirefox 3.1について語った。
スマートブックマークやオフライン対応などの新機能、そしてJavaScript処理速度などの高速化。多くの改善をひっさげて登場したFirefox 3は、公開初日で800万ダウンロードを超えるという人気の高さを見せた。
リリースから一週間。Mozilla CEOのジョン・リリー氏が来日、報道関係者向けのブリーフィングを行った。
ギネスブックへの挑戦でもあった、公開初日のダウンロードイベント「Download Day」は大成功となった。
「ピーク時には、1分間に1万7000回のダウンロード、1秒あたり283回のダウンロードだった。ダウンロード量は83Tバイト。例えば、議会図書館に保存されているデータが全体で10Tバイト、(Firefox 3)は議会図書館の8.5倍の量を24時間で提供したことになる」
当日はサーバがかなり重くなり、ダウンロードができない、始まっても極端に遅い、という状況もあった。
「ダウンロードインフラはMozillaのものと、世界中の組織から構成されるものの2つある。過負荷になってしまったのはMozillaのほうです。もともとは24時間で500万を目標としていたが、実際には800万に達した」
「ダウンロードサイトは稼働していたが、フロントエンドのWebサイトのほうがダウンしてしまった。当日、急ぎマシンを増やすこともした。予想以上のアクセス集中といううれしい悲鳴だった」(Mozilla Japanの瀧田佐登子代表理事)
リリースから8日間たったが、まだダウンロードは続いているという。昨日25日の段階で、日本だけでも1分あたり39.1のDLがあった。日本のダウンロード数はすでに100万を超えている。
Firefox 3のリリースからまだ1週間だが、関心はすでに次バージョンFirefox 3.1に移り始めている。2008年後半にリリース予定のFirefox 3.1のコードネームはSHIRETOKO──北海道の知床だ。Firefoxは、これまで各国の国立公園の名前をコードネームに使ってきた。カナダの国立公園ボンエコー(Firefox 2)、イタリアのグランパラディーゾ山(Firefox 3)に続く名前だ。
IE7の9.3倍高速──とMozillaが主張するFirefox 3のJavaScript処理速度だが、Firefox 3.1ではさらに高速化するとジョン・リリー氏。
「JavaScriptにはまだ多くの改善余地がある。いまJavaScriptの仕様について激しい戦いが繰り広げられている。IEと戦うのは厳しかった。一方、SafariのWebKitの人たちと戦うのは楽しい。こうした戦いの結果、速いブラウザが出てくるので、エンドユーザーにとっては良い結果をもたらすものだと思う」
ビデオタグ、オーディオタグの部分で作業を続けているほか、Web開発者がさらに生産性を上げていくことに力点を置いているという。
「ユーザーが何十ものタブを開いているということを念頭に置いて開発しており、Geckoも(1.9からバージョンアップして)1.9.1となります。ただし見た目はそんなに変わりません。3.1はあくまでマイナーバージョンアップ」
3.1の後には、来年以降のリリースとなるFirefox 4、そしてFirefox Mobile(コードネームFennec)なども控えている。履歴、スマートロケーション、ブックマークなどを、ネットワークのクラウドを活用しながら同期を取っていくオンラインサービス「Weave」や、ブラウザにテーマを与えたりスキンをつくったりする「Personas」などについても触れた。
リリー氏が一貫して主張したのは、「ユーザーに対して、選択肢があるんだよということを訴えかける。コンピュータに付属しているブラウザを使う必要はない」ということだ。
欧州では30%以上、日本や米国では10〜20%のシェアを持つFirefoxだが、「70〜80%のシェアを持とうとは思っていない」と同氏。「ブルーの“e”がインターネットではないんだよ、といったことを人々に伝えていきたいと思っている」
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