仕事の優先順位付けなら、Googleカレンダーなのだシゴトハッカーズ(1/2 ページ)

仕事がたくさん重なってしまう。どうも1日にこなさなくてはいけない仕事が多いようだ……。達人たちは、こうした問題にどう対処しているのでしょうか。

» 2008年07月17日 17時17分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

Biz.ID 大橋さん、佐々木さん。今すぐしなければいけない仕事が複数重なったときに、どうやって優先順位を付けたらいいですか? 教えてください!

佐々木 タスクが重なるのは、基本的に今日起こる問題です。プロジェクトは、カレンダーで何日もまたぎますね。それは締め切りまで続く。で、今日が回らなくなるほど、マルチタスクが重なるのは、単純に1日に放り込まれたタスクの数が多すぎるときや、前日以前から先送りしてきたタスクが積み上がったり、割り込みタスクがそこに入ったりしたときです。これを防ぐために、Googleカレンダーなどで一望する必要が出てきます。一望してみて、特定の日の「予定の数(タスクの数)」が過剰であれば、それを減らさなければいけません。

Biz.ID まずなんで重なっちゃうんでしょうね?


タスクのボリュームに応じた“面積”を視覚的にカレンダー上で把握できるGoogleカレンダー

大橋 開始時刻が決まっていないからだと思います。会議や訪問のアポが重ならないのは、お互いに開始時刻を合わせてブロックしているからです。でも、自分で進める仕事については、「いつまでに終える」は決まっていても「いつから始める」は決まっていないことが多い。だから、始めるべきタイミングを逸して、気づいたら残業に突入していたりするわけです。

佐々木 分割の再適量が見えないからというのが、私の多くのパターンです。基本的には、本の執筆などでも単純に分けますが、この分け方に問題があって、第1章と第8章は同じ分量じゃないのに、4日で一章とかいう分け方しかできないと、ほかの仕事と、1日あたりにしては多すぎる分量の仕事が重なって、厳しいことになります。

大橋 こういう問題もあります。個条書きでリストアップしただけではボリュームが見えてこないため、何とか気合でやりきろう! ということで始めるわけですが、実際にやってみると、

  • Sさんに電話/○○の件
  • 次回のセミナー会場を探す
  • 報告書作成

 など、粒の大きさがまちまちなタスクがあたかも同じくらいの大きさのように見えてしまうのです。その結果、電話はさくっと終えて「完了」にできますが、大変な時間と手間をかけてようやく終えたタスクでも、同じ程度の達成感(チェックを入れる行為)しか得られなくて、気持ちがなえてしまう。それゆえ、タスクのボリュームに応じた“面積”を視覚的にカレンダー上で把握できる必要があるわけです。

佐々木 こうしたタスクボリュームが大きいタスクの中には、大きいのだから、何日かに分けてやりたいのに、それが許されないことが多くあります。大橋さんのいわれた「会場を押さえる」とかがそうで、2日くらいで一気にやってしまわないといけなくなることがありますが、そうするとその日にやることになっていたルーティンワーク2日分が3日後にまとまることになったりして、大変なことになります。

Biz.ID でもそれって、先に、「その仕事がどのくらいのボリューム感なのか」を把握しておく必要がありますね。

大橋 そのためには、作業記録が不可欠になってきます。どれぐらいの時間が必要なのかは、記録からしか読み取れないからです。

Biz.ID 自分のデスクワークも予定化して、スケジューラーに入れる、ということでしょうか? それによって、上述のようなメリットがあると。

佐々木 そうしてます。はい。

大橋 ただ、「メールチェック」とか「領収書をまとめる」といった細かいルーティンまで1つ1つ個別にタスク(Googleカレンダーの1項目)にしているとごちゃごちゃになってしまうので、僕自身は「朝のルーティン 20分」といった具合に、ルーティンタスクのリストを作って実行するようにしています。あまりに時間がかかるようであれば、リストを見直して、頻度を落としたり、やり方を変えたり、やることそのものをやめたりといった“リストラ”を定期的に行っています。

 また時間帯ごとに時間を区切って使うということを最近は特に意識しています。ちょうど、事業部制を取っている会社が、各事業部ごとの収益を見ながら、人員を調整していくような感じです。「この事業部(例えば朝の時間帯)は、人(時間)をたくさん使っているわりにはアウトプットが少ないから、縮小しよう」といった具合に、全社(1日全体)のコストと収益を見ながら、調整するわけです。そういったマネジメントをする上でも、記録が必要になります。

佐々木 私は、最近「メールチェック」とか「領収書をまとめる」といった細かいルーティンまで入れていくようにしてきていますが。

Biz.ID でも、どうしてGoogleカレンダーが、それにいいんですか?

大橋 タスクのボリュームが面積で視覚的に分かるから、ということが大きいです。

佐々木 いくつもの「カレンダー」を新しく追加できるからです。カレンダーによって、色も変えられます。「ルーティン」(オレンジ)とか、「約束」(青)とか、「プロジェクト」(赤)などで「カレンダー」を分ける。これらの「カレンダー」をいつもは「表示オン」にしておいて、一望する。そうすると例えば、「朝10時からは掃除(ルーティン)」で、「11時から打ち合わせ(約束)」で、「13時から原稿書き(プロジェクト)」という風に、一覧で流れを追えます。一方、「約束」だけを「オン」にしてそれ以外の表示を隠してしまえば、「約束」だけを簡単にチェックできるから、ダブルブッキングを避けることができます。基本的に、私にはGoogleカレンダーがタスクリストです。

大橋 そうですね、定期的なルーティンも設定できるので、自動的に時間枠を押さえてもらえる、ということがあります。あとは、普段使っている手帳が別にある場合に、ダブルブッキングを防ぐように注意することでしょうか。僕自身は、アポイントはすべて紙の手帳で行い、その日のうちにPCに転記しています。

佐々木 私は何もかもをいったんGoogleカレンダーに放り込んで、これをいろいろと整理していきます。もちろんダブルブッキングは起こらないようにしつつ「当日」がきたら、その日やることを時間割にして組み上げます。

Biz.ID タスクの順番などを決めるということでしょうか? ドラッグ&ドロップで移動するとか?

佐々木 基本的にまずは「終日」の設定にして、「タスク」を入力しておきます。例えば、「7月2日(水)(終日)企画チェック」などとしておきます。そして実際に7月2日(水)になったら、何時に何をするという予定が立つから、「7月2日(水)10:00-11:00企画チェック」と修正するわけです。もちろん、打ち合わせの予定などは、最初から時間が決まっていることも多いので、その場合には初めから時間を決めて入力します。

Biz.ID Googleカレンダーでないとダメでしょうか?

佐々木 Outlookでもほぼ同じことはできますね。

大橋 Outlookのデメリットをあえて挙げるならマイナーなところでしょうか。みんなが持っているとは限らない。でも、スマートフォンでも閲覧できたりする、という地味なメリットもありますね。

佐々木 Outlookは何といっても、スマートフォンと同期を取れるので、例えば、打ち合わせ先ではGoogleカレンダーをどうやっても確認できないような人の場合には、重宝すると思います。今ではあまりないと思いますが、地下で打ち合わせをする機会が多いとか。実は私はそうでした。打ち合わせの現場で、「じゃあ、7月2日(水)はどうでしょう?」といわれても、Googleカレンダーをどうしても見られない空間では、答えられない。逆にGoogleカレンダーを使っていれば、同期を取る必要自体がないから、オンラインで確認できさえすれば、その予定情報は信頼できます。同期を取るというやり方だと、自分が目にしている情報が、本当に最新情報かどうか、実は確証がない。スマートフォンでも、家で同期を取り忘れていないという、絶対の保証がない。Googleカレンダーでは、そういった心配はありません。ですから、多くの人はGoogleカレンダーで良いと思います。しかし、Web上に予定を一元化できない事情があったり、会議や打ち合わせではオンラインにつながれない人は、Outlookの方が良いかもしれません。

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