解説編 訪問のきっかけ作りから始まる営業“8つの極意”奇跡の無名人たち(3/3 ページ)

» 2008年10月22日 08時30分 公開
[森川滋之,ITmedia]
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法人営業は「仕掛け」と「誠意」

第4回 本部からの呼び出し

 ようやくロバさんチームの丁寧な仕事が実ってきた。信頼してくれた企業が、いくつか契約してくれるようになったのである

 ロバさんチームは訪問先の質問を一言一句メモして持ち帰り、スタッフの力を借りて完璧な回答を作成。それを再び持参することで、だんだんと仕事が取れるようになってきました。繰り返すうちに、分厚い資料が出来上がり、訪問先の企業が驚くまでになったのです。

 そのうち、横展開にも利用できるだけの資料がたまりました。ロバさんの粘り強く誠実な人柄が営業の成功につながった――というわけです。

 手抜きは何も生みません。しんどくても資料作成などに努めているうちに、それが財産となっていい循環を生みます。そうなれば楽なもの。トークができなくても作ってきた資料で売れるようになるのです。

 もう1つ大切なのは、質問を持ち帰ることで次回訪問する口実を作れたということです。継続的に訪問していると、商品に興味のある会社であれば、いつかは契約に持ち込めます。契約できない場合でも、誠意のある営業に対しては、あそこなら売れるかもしれないと紹介してくれることもあります。

 問題は、その商品に興味を持っていない相手。何とかして売り込もうと、いつまでも訪問を続けてしまいがちです。連載には出てきませんが、和人はその辺りを見極めて、指示を出していたはずです。

押し付けは逆効果

第4回 本部からの呼び出し

 多くのマネージャーは、結果が出てこないと、自分のやり方を押し付けようとする。だがそれは、必ずしも押し付けられたほうにふさわしいやり方ではないかもしれない。自分らしくないやり方は、やる気をそぎ、結果として能率も上がらない。

 まさに書いた通り。本人が納得しないと絶対に効率は上がりません。もっと大事なことは、やり方は何通りもあるということです。優秀なマネージャーは、過去の1つの成功事例にこだわりません。本質を捉えていれば、どんなやり方もありと思っています。

 連載で言いたかった本質は「売り込まない」「お客様と信頼関係を作る」「お客様に質問してもらう」などを指しています。


 解説編の第2回はこのあたりで終了です。次回は、連載第5回以降について解説を続けます。何か分からないところなどがあったら、編集部までご連絡ください

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著者紹介 森川“突破口”滋之(もりかわ“とっぱこう”しげゆき)

 大学では日本中世史を専攻するが、これからはITの時代だと思い1987年大手システムインテグレーターに就職する。16年間で20以上のプロジェクトのリーダー及びマネージャーを歴任。営業企画部門を経て転職し、プロジェクトマネジメントツールのコンサル営業を経験。2005年にコンサルタントとして独立。2008年に株式会社ITブレークスルーを設立し、IT関係者を元気にするためのセミナーの自主開催など、IT人材の育成に取り組んでいる。

 2008年3月に技術評論社から『SEのための価値ある「仕事の設計」学』、7月には翔泳社から『ITの専門知識を素人に教える技』(共著)を上梓。冬には技術評論社から3冊目の書籍を発売する予定。


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