論理療法的にネガティブな感情に対処する方法【チュートリアル編】 シゴトハッカーズ

「感情」に対して、「言葉」や「論理」が役に立たない――。そんな思いこみを捨てれば、言葉や論理を使って逆に「感情」を変えることもできるようになります。「論理療法」のキソを見ていきましょう。

» 2008年10月31日 13時50分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

 「論理療法」(合理情動療法)とは、アルバート・エリスらによって開発された心理療法で、米国で主要な精神療法の1つである「認知行動療法」に大きな影響を与えています。

 ただ、「論理療法」を本格的に行うのは専門的なカウンセラーの仕事になり、そこまで実践するのは難しいので、この考え方を参考にして「ネガティブな感情に対応する」簡単な考え方を紹介したいと思います。

1.「感情」に対して「言葉」や「論理」が役に立たないという思い込みを捨てる

 特に感情的になりやすい人は、「感情」の力をあまりにも過大評価し、言葉や論理的思考というものを「正しいかもしれないが無力なもの」と信じ込む傾向が強いようです。

 つまり、簡単に示すと図1のような考え方から抜け出せないのです。

 このような、一方通行的な「感情→発想」という図式にとらわれている以上、感情をコントロールする手段などないと思えるのもムリはないことです。

 しかし実際には、言葉によって間断なく表現されている、その発想自体が、ネガティブな感情を強化してしまっているのです。

 つまり、図2のようになっているはずです。

 つまり、ネガティブな感情と、ネガティブな発想とは、相補的な関係にあるのです。自分の心の中で言葉を重ねていくうちに、それにまつわる感情が強化され続けているのです。

2.ネガティブな感情に「養分」を与えない

 こうした図式にと捉え直すことができれば、ネガティブな感情と相補的な関係にある「発想」を止めることが、有効であると見えてきます。それは言うほど簡単ではないかもしれませんが、不可能などということはないのです。

 「発想」の元になっているのは、たしかに「感情」かもしれないけれど、同時に「発想」もまた、「感情」の元となっているという事実を、どの程度自覚できるかがポイントです。

 論理療法でも認知行動療法でも、「間違った信念」や「認知のゆがみ」を改めることで、「自分を苦しめる、破壊的感情から解放されること」を目指します。が、「間違った信念」や「ゆがんだ認識」を「考え直す」ことによって、破壊的感情のとりこになるのを止められると信じなければ、これらの療法をそもそも試すことすらできないでしょう。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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