トークに「ブレーキ」をかける技を身につけようプロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術(4/4 ページ)

» 2008年12月03日 09時33分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]
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「ブレーキを使う」練習をしておきましょう

 そうして「ブレーキを使う」ことを実践していった結果、吉見さんの講師術はみるみるうちに上達していきました。そのためにやったことといえば、これだけです。

  • ワード選択:原稿の中から大事なキーワードを選び出す
  • ゆっくり発声:そのキーワードを喋るときに、力強くゆっくり発声する
  • 沈黙タイム:発声した後に少し沈黙の時間を入れる

 もっとも、「これだけ」とは言っても

  • 練習しなければできません

 「ゆっくり発声」にしても「沈黙タイム」にしてもごく簡単なテクニックのように見えますが、いざやってみるとほとんどできないものです。必ず事前に何度も練習しておいてください。ぶっつけ本番であわてる前に、リハーサルをしておくことが肝心です。

吉見 でも、開米さん、それだけじゃないですよね? ほかにもいろいろ直したほうがいいポイント、ありますよね?

開米 ええ、ありますよ。あります。でも、まずはこの「ゆっくり発声」からやりましょうよ。ゆっくりしゃべれるようになったら気持ちの余裕が出てきます。そうするとほかのことにも気を配れるようになりますから。最初からあれもこれもと欲張るより、まず「ゆっくり発声」だけ考えるのがいいですよ。

吉見 分かりました! じゃ、残りはおいおい教えてください!!

開米 がってんです!

「プロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術」シリーズ開講!

 というわけで、今回から新シリーズ「プロ講師に学ぶ、プロの技術を教えるためのトーク術」を始めます。組織全体で不断の学習が求められる現代、「教える技術」は決してプロ講師だけが持っていればいいものではありません。取引先や社内でのちょっとした説明会、あるいは後輩の相談に乗るときなど、活用できるシーンは非常に多いのです。ぜひ、この機会に身につけて仕事に生かしてください。

 なお、このシリーズでは、「教える技術」のなかでも、「講師としてのトーク術」を中心に扱います。しかし、「トーク術」となると文章で伝えることが難しいので、必要に応じて動画で事例を紹介する予定です。また、読者参加型セミナーの開催も検討中ですので、どうぞご期待ください。

筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』


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