保管? 保存? 紙文書の使い分け管理術紙、空間、時間――3つの無駄をなくす文書管理

たまる一方の紙文書は、管理上では「保管」と「保存」の区別がされている。この2つをうまく使い分ければ無駄のない管理ができるのだ。

» 2009年02月20日 14時00分 公開
[SOS総務]
SOS総務

 たまる一方の紙文書。そのライフサイクルにおいて「保管」と「保存」は明確に区別されている。2つの違いを明らかにし、文書情報マネジメントのカギとなる「保管」「保存」の具体的な管理方法について確認しておこう。

よく使うファイルは「保管」、あまり使われないファイルは「保存」

- 文書のありか 管理責任 該当文書
保管 事務室(課・室) 文書利用部門(課・室) 今年度の文書/前年度の文書/常用のファイル
保存 文書庫 文書主管部門 前々年度以前に発生した文書で、3年以上保存の必要があるもの

 「保管」と「保存」の違いを簡単にいうと、「保管」はよく使う文書ファイルを事務室内で管理している状態をいう。

 一方「保存」は、あまり使われなくなった文書ファイルまたは法的要求などから、何年間かとっておかなければならない文書ファイルを文書庫などで集中的に管理している状態である。

バーティカル式とバインダー式――2つの「保管」法を使い分ける

 文書を検索しやすいように整理/保管するファイル方法は大別すると2つある。

 1つはバーティカル(垂直)方式と呼ばれるもので、紙挟みの書類フォルダを使って共通性のある文書を小まとめにし、キャビネットの引き出しや、ファイルボックスに立てて並べるやり方。

 フォルダに文書をファイルする場合は、とじ込まないことが原則となる。とじ込まないことで取り出しやすく、戻しやすく、小まめに捨てやすいという利点がある。

 もう1つの方式が簿冊式と呼ばれるもので、バインダーやパイプファイルのような背表紙に厚みのあるファイルに書類を重ねてとじ、背表紙にタイトルを書いて、書棚などに図書のように立てて並べていく方法。とじ込んでいくので、簡単に抜き差しできないのが特徴である。

 一般文書はフォルダを原則とし、発生日順にとじる伝票類やコンピュータのアウトプット、ページや連番が振ってあるマニュアルや台帳などは簿冊式とするなど、組織全体でルールを決めることが必要だ。各人の好みに任せるようなことだけは避けよう。

 なお、フォルダであろうが簿冊であろうが、ファイルを作成した以上は、ファイルごとに保存年限を設定することを忘れてはならない。また、前章の文書情報マネジメントの原則でも述べたとおり、1つのファイルに複数年の文書をまとめることは避けたい。あくまで年度単位でのファイルとしよう。複数年の文書をまとめたファイルでは保存年限設定が意味をなさなくなってしまう。

フォルダは、キャビネットかボックスへ収納

 次にフォルダを収納する容器について説明したい。それには、キャビネットとファイルボックスの2つがある。

 キャビネットは引き出しの中にフォルダを前から後ろに並べていく縦型と、左から右に並べていく横型(ラテラルファイリングキャビネット)がある。いずれも取り出しやすい上段の引き出しに今年度のフォルダを、下段には前年度のフォルダを収納すると使い勝手が良くなる。また、通常はカギがかかるようになっているので、施錠管理の徹底もはかれる。

 フォルダをファイルボックスに収納する場合はボックスをそのまま書架に並べていく、オープンファイリングという収納方法もある。しかし最近は秘密保護、個人情報保護の観点から、施錠可能な扉のある保管庫に入れるのが一般的だ。

 簿冊の場合もファイルボックスと同様にキャビネットには収納せず、書架などに立てて並べていくが、これも同様に、施錠可能な扉のある保管庫に収めると良い。

 大型の図面などは専用のファイル用品があるので、それを用いる。

 なお、どの方式を取るにしても、収納するのは文書のみとし、文書と物品が混在しないように注意しよう。

期間が過ぎたら廃棄――「保存」のコツは定期的な「オキカエ」

 事務室内にある文書は、原則として前年度のものと今年度のもの。さらにもう1年たったら、すでに保有期間が終わっている1年保存のファイルは廃棄し、3年以上保存するファイルについては、保存年限ごとにまとめて文書保存箱に収納し、文書庫に移管しよう。これを「オキカエ」という。オキカエによってファイルの管理責任も各課から、文書主管部門に移管される。

 文書庫には、社内から引き継がれた3年保存以上のすべてのファイルが集まり、ここからは文書主管部門が責任を持ってライフサイクル管理をすることになる。保存文書の貸し出しや、利用頻度をチェックして保存年限の見直しをはかるのも、文書主管部門の仕事だ。

 文書庫は集中管理下にあるので、通常は施錠しておこう。文書主管部門の知らないところで、誰でもいつでも簡単に出入りできるのでは、管理していることにはならない。各課が保存文書の閲覧や貸し出しを希望する際は、文書主管部門に要求を出し、文書主管部門が該当のファイルを文書庫から持ち出してきて貸し出すというのが理想の形だ。

 なお、貸し出しの際は期限を明確に定める必要がある。

POINT

  1. よく使うファイルは「保管」、あまり使われないファイルは「保存」
  2. 作成した文書ファイルは必ず保存年限を設定
  3. 事務室内に置く保存文書は前年度と今年度のみ
  4. 3年保存以上のすべてのファイルは文書主管部門がライフサイクル管理

『月刊総務』2008年1月号 「法と機密を守るための文書の保管・保存&廃棄のルール」(P72〜73)より

執筆:エフエム・ソリューション FMコンサルタント

山野辺 泉


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