前回は会議の議事進行を行うときに、参加者からスムーズに発言を引き出す方法についてご紹介しました。今回はさらに議論が活発になるテクニックについて、「朝まで生テレビ」から学びましょう。
前回の記事では、会議やミーティングで議事進行を行うときに、参加者からスムーズに発言を引き出す方法についてお話ししました。
しかし、前回の方法を実践してもなお、意見が出てこないということも多々あります。
そんなときにも、参加者から自分の考えを答えてもらうことができます。今回は、その方法についてお話ししましょう。
テレビ朝日で、毎月1回深夜に放送されている「朝まで生テレビ」。1987年の4月から放送が開始されてから今年で22年。もう長寿番組の仲間入りをしたと言っても良いでしょう。
この番組は、田原総一朗さんがメインの司会を務める討論番組となっており、1つのテーマに対してパネリストが激論を交わしますが、一番の見どころは、パネリスト同士の、感情的とも言えるような議論バトルです。一番有名なのは、大島渚監督の「バカヤロー」発言ですね。私は一時、あのバカヤローを聞きたくて、この番組を見ていた時期がありました。
また、この番組は、ほとんどの場合生放送で行われていましたが、そのときは、視聴者からの意見がファクスでたくさん送られてきていましたね。別に頼まれたわけではないのに、たくさんの方が熱い意見を送ってきます。
最終的には、パネリストたちの際限ない討議の中、具体的な結論が出ないままに終わってしまうので、会議の流れとしてはあまりよろしくないのですが、あれだけ活発に意見が出てくる上に、視聴者からも発言がたくさん集まってくるということについては、何かしら学ぶことがありそうです。
そして、その秘密は、やはり田原総一朗さんの進行の妙にあるのです。
田原さんは討議が始まると、まず最初に「参加者の立ち位置をはっきりさせる」質問を、パネリストの方たちに投げかけています。「○○について、あなたはどう考えているか」といったことを、まず始めに全員に発言させ、その討議の場にいる皆さんの立ち位置を明確にさせるんですよね。
この質問によって、誰が、どんな考えを元に今後議論をしていくのかが、参加者全員に理解してもらうということをやっているわけです。
もっとも、「朝まで生テレビ」の場合は、参加するパネリストの皆さんが、その道のプロであり、ご自身なりの意見を明確に持っている人たちです。だから、通常のミーティングで田原さんと同じようなやり方をやっても、自分の意見を明確にしていないような参加者たちが、なかなか自分の立場を明確にするような発言はできないでしょう。
では、どうしたらいいか。私が良くやる方法は、
なるべく考える負担を減らすために、選択質問から投げかける
ということをやっています。いきなり、「○○についてどう思うか」という質問をぶつけても、答えられない。だから、まずはyes/noで答えられるような二択の質問をし、徐々にいくつかの選択肢のある質問などを投げかけ、参加者たちの立ち位置を明確にしていきます。
その上で、具体的な考えなどを聞く質問をぶつけていくと、参加者たちも、選択質問を重ねていく中で、自分の意見が徐々に明確になります。また、ほかの参加者がどう考えているかということも理解できるので、自分の考えをまとめやすくなる、という訳です。
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