PC持ち出し禁止なら携帯で――NECがプレゼンシステム開発

NECディスプレイソリューションと日本電気は、携帯電話とプロジェクタを活用した新たなプレゼンテーションシステムを開発した。携帯電話からサーバに登録していた文書データを取得し、プロジェクタ投写によるプレゼンテーションが行えるという。

» 2009年08月26日 15時20分 公開
[塙恵子,Business Media 誠]
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 企業の機密情報漏えいに対する危機感が高まり、PCの持ち出しなどの制限が厳しくなっている。しかし外出先でプロジェクタによるプレゼンテーションを行う場合、どうしてもPCが必要だ。

 NECディスプレイソリューションと日本電気(以下、NEC)は8月26日、携帯電話とプロジェクタを活用した新たなプレゼンテーションシステムを発売した。

 サーバに登録している文書情報を、ネットワーク経由で携帯ブラウザに配信し、閲覧、検索を可能とするNECのモバイル文書閲覧システム「InfoFrame DocumentSkipper Mobile(インフォフレーム ドキュメントスキッパー モバイル)」(以下、DocumentSkipper Mobile)と、呼び出したデータの投写が可能なNECディスプレイソリューションズのプロジェクタ「NP62J」「NP52J」とを組み合わせたシステム。

 これまで「NP62J」「NP52J」は、USBケーブルを接続したり、Bluetoothを使うことで携帯電話のminiSD/micoroSDカードに保存した画像を投写可能だった。今回新たに専用のケータイアプリを開発し、DocumentSkipper Mobileにはケータイアプリ向けの配信機能を備えた。これにより携帯電話からサーバに登録していた文書データを取得し、プロジェクタに転送。そしてプロジェクタ投写によるプレゼンテーションが行えるようになった。

 通常、USBメモリなどに保存したデータをプロジェクタで投写してプレゼンテーションを行う場合、作成したPowerPointやExcelの資料をJPGやGIFといった画像ファイルフォーマットに変換する必要がある。新システムは、サーバに文書データを登録する際に、DocumentSkipper Mobileが自動的にプロジェクタ投写用にデータフォーマットを変換し、XGAの解像度への表示にも対応するという。

 実際に、発表会ではこのシステムを使って進行していたが、携帯電話を使った状態でもまったく違和感がなかった。

photophotophoto サーバにアクセスし文書データを取得。サムネイルを表示し拡大、スクロールも可能。データを一括で取得し、プロジェクタのメモリに先送りできる。データを一括でダウンロードする場合は時間がかかるため、プレゼンをしながら1枚ずつダウンロードすることも可能

 なお、サーバから取得した携帯電話のデータおよび、プロジェクタのデータは一時的に保存するものの、ケータイアプリを終了したり、プロジェクタの電源を落とすことで自動的に消去する。

photophoto (左)プロジェクタはNP62J。(右)PCによるプレゼンテーションとの比較

 NECディスプレイソリューションズの黒田敦プロジェクター開発本部長は、「情報漏えい対策で、PCの持ち出しなど外部への機密情報の持ち出しの制限を強化している企業も多い。いかにセキュアな環境でプレゼンテーションをできるかが課題。本システムを発売することで他社に比べて差別化ができるのでは」と新システムの開発の背景を説明した。

 ユーザーとしては、製薬会社のMR業務、銀行、信用金庫の渉外業務、生命保険、損害保険などの外交業務を想定。直行直帰型のルートセールス営業など社外で説明業務を行う機会が多い業種の利用を見込んでいる。

 モバイル対応機種は、auのE05SH(法人モデル)とNTTドコモのN906iL onefone(法人モデル)、N906i、N-03A、N-05A(NTTドコモはUSBケーブル経由)。今後は企業の要望に応じて随時対応機種も増やす予定とのこと。価格は見積もりに応じて変わるが、コンテンツ変換・登録、および配信用サーバ1台、DocumentSkipper Mobile、その他ソフトに加え、対応プロジェクタ「NP52J」10台の組み合わせの場合の価格は500万円から。

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