――ここからは、具体的にどのように本を買い、読んだらいいかを聞いていきたいと思います。初心者については、小飼さんはまず「新書が300冊入る本棚を買いなさい、そしてリアル書店に行き、選ばず、適当に数十冊単位でゴソッと『大人買い』をしなさい」と薦めていますね。最終的には300冊買いそろえなさい、図書館や人から借りるのもダメ、と。
小飼 1冊をじっくりと読むのは、初心者ほどお薦めしません。なぜなら、たくさんの本を読み、数をこなさないと、本に“ひきずられて”しまうからです。慣れたらAmazonなどネット書店もいいけれど、「初心者ほどリアル書店で本を買いなさい」と思いますね。
――もう一つ、「たくさん読むこと」も重視しています。
小飼 本を読む習慣がない人には、「最初の10冊は意地でも読め」と言いたいですね。
――じっくり読まなくてもいいんですか?
小飼 はい、じっくり読まなくていいです。特にこの本で薦めているのは、ジャンルとしてはノンフィクションですから、じっくり読まなくても大丈夫なのです。フィクションのほうが、最初から順番にきちんと読まないといけないので書評者泣かせですよ。順番通りに話を追って、作者が作り出す世界観を理解しないと先に進めない。
わたし自身、最近は1冊読むのに10分もかけていないはずです。
――『新書がベスト』の中でも、「目次の重要性」についてはページを割いて解説されています。
小飼 目次はとても重要です。1冊を通読する必要はない。同時進行で複数の本を読むことを薦めています。まず目次をじっくりと見て、次の本へ行く。1章読んだら次の本に行ってまた1章読む……という読み方がいいと思います。
――速く読む重要性を説きながらも、いわゆる“速読術”をマスターすることには批判的です。
小飼 大事なのは「速読をすること」ではなく、「速く読む本を見つけること」なんですよ。速く読める本というと「中身が薄いんじゃないか」という人がいますが、それは誤解です。
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