なぜ新書を読むべきなのか? 小飼弾さんに教わる読書術ハードカバーは滅びてしまえ!(4/4 ページ)

» 2010年07月21日 06時25分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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――本で読んだことのアウトプットの話題に移りたいと思います。この本では「衝突断面積」という言葉が出てきますね。

小飼 衝突断面積は、最近気に入ってるフレーズなんです。自分のアンテナ、つまり関心を持つ領域を広げておくことで、同じ時間内でより多くの幸運や出会いに当たる確率が高まる、ということです。読書でいうなら、同じジャンルや著者の本を10冊読むより、さまざまなジャンル、10人の著者が書いた10冊を斜め読みしたほうが、衝突断面積ははるかに大きくなります。

 「運も実力のうち」とよく言いますが、運そのものはランダムにやってくるものです。だけど……いや、だからこそ、その運を受け取る受け皿の大きさとか、アンテナの感度の良さが重要になってくるわけです。本を読むということは、受け皿を大きくし、しかもアンテナの感度を良くすることができる、両方に効くツール。例えば1日の生活費が1000円だとして、2000円入ったらどうしますか? 普通の人は、余った1000円で飲んじゃうのかもしれない。でも、実力者はその1000円で本を買い、運を実力に転化できるよう、自分に投資するんですよ。本を買うというのは、そういうことなんです。

――初級、中級と聞いてきましたが……上級者に向けた読書術って、ありますか。

小飼 中級を超えたら一般化できないですよ。その人それぞれの読み方があるでしょうし、“上級編の読書術”が市場として成り立ったらすごい。残念ながら、日本にはそこまで本を買う習慣がある人がいないのが現実だと思いますよ。20人のうち1人くらいしか、本をちゃんと買って読む人はいないんじゃないかな。あくまで感覚値ですけど。

 だけど、もったいない話ですよね。世界中どこへいっても、日本ほど本が安くてたくさん流通している国はない。それこそ新書や文庫といった安く買える本が大量にあって、どこでも買える、本当にいい国。僕が日本を出て行かないのは、本が安くて素晴らしい国だと思うから。もし、本がアメリカ並みに高くなったら、それとごはんがまずくなったら、いつでも日本を捨ててやると思ってますよ(笑)。

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