あなたはなぜ仕事に不満なのか人生を変えるタイムマネジメント

あらゆる組織のあらゆる職位の人々が何らかの苦痛を感じている。家庭でも地域社会でも、つまり社会一般においてである。現代が新しい「知的労働者の時代」となり、その中で本当の充足感を得るためには、どうしたらいいのだろうか。

» 2010年12月03日 16時55分 公開
[フランクリン・コヴィー・ジャパン]

編集部から

人生は手帳で変わる 改定版

 時間を管理しなければ――。ビジネスパーソンの大半はそう思っているはずです。ところが、時間というものは管理できるのでしょうか? 本当の“時間管理”をフランクリン・プランナーの視点から描くのが短期集中連載「人生を変えるタイムマネジメント」です。

 右は8年ぶりに改定した、時間管理のバイブル『人生は手帳で変わる 改定版』。価値観をベースにし、行動を管理する第四世代手帳を解説しています。


 フランクリン・プランナーには、あなたが自分自身の「最も大切なこと」を明確にするための3つの切り口が用意されている。その1つは、理想的な生き方に近づくための具体的な行動指針である「価値観」。2つ目は、理想とする生き方を実現するために果たすべき「役割」。そして最後が、あなた自身の理想とする生き方や生きる目的を文章などで表す「ミッション・ステートメント」である。

 ここで特に強調したいのは「独自の貢献」から導き出す「価値観」だ。

 なぜ「独自の貢献」から価値観を導き出す必要があるのだろうか。今日、時代は変わり、知識労働者の時代となった。これまで常識とされてきた、プランニングやマネジメントのプロセスでは、心からの充足感や情熱を感じることが難しくなってきたからである。

あらゆる組織のあらゆる職位の人々が苦痛を感じている

 コヴィー博士は『第8の習慣』の中で、現代が新しい「知的労働者の時代」となり、その中で本当の充足感を得るためには、自分自身の中に「指針」を持つことが必要だと説く。

 あらゆる組織のあらゆる職位の人々が苦痛を感じている。家庭でも地域社会でも、つまり社会一般においてである。今という新しい時代の中であなたがそうした苦痛とフラストレーションを脱し、本当の充足感を得て、関与し、貢献し、存在意義を認識できるようになるための指針──職場や組織の中だけでなく、人生全体における指針を示すことだ。あなたが望むなら、現在の立場にかかわらず、あなたは周囲の人々に対する影響力を大きく拡張することができるだろう。

 それは、大切に思う人たちやあなたが属するチームや組織を刺激するだろう。その結果、人々はそれぞれに内面からの声を発見し、効果性や成長、インパクトが何倍にもなるはずだ。そして影響力やリーダーシップは立場や職位に依存するのではなく、みずから選び取るものだということにあなたは気づくはずだ。

 さらに、現在の仕事や生活に充足感を得ることができない理由として「人」に対する見方、接し方が不完全なパラダイムであるからだとする。

なぜ仕事に不満なのか? なぜ創造性を引き出せないのか?

 なぜ大勢の人が仕事に不満なのか? なぜ大半の組織が従業員の最も優れた才能や創意工夫、創造性を引き出せずに、真に偉大で長続きする組織になれずにいるのか? 問題の核心には1つの単純で支配的な理由がある。それはわれわれが何者なのかということ、人間の本質に関する根本的な見方に関して、不完全なパラダイムに基づいているということである。根本的な真実はこうだ──人間は、管理して尻を叩かなければ動かない「モノ」ではない。人間は四つの側面から成る存在だ。肉体、知性、情緒、そして精神である。

 こうした時代の流れは、必然的なものだ。インターネットの爆発的な普及が証明しているともいえる。人々がインターネットで発信したいメッセージは、自分自身の存在意義であり、社会への貢献意識の表れにほかならないだろう。

 そして、インターネットによって人々のコミュニケーションは劇的に変化した。いつでも誰でも思い思いの「声」を発信することができるようになったのである。自分が社会の中で、組織の中で、どのような存在でありたいのか、どのような貢献をしたいと考えるのかは、当たり前のことであり、明確にしなければならないことなのだ。

ニーズ、才能、情熱、そして良心

 わたしたちが生きるビジネス社会、地域社会、家族には、何らかのニーズが必ずある。ビジネスにおいて顧客や上司、同僚たちが求めていること、あなたが住む地域社会の中で必要とされていること、家族にとって重要なこと、そして、自分自身が求めていること、こうしたさまざまなニーズに対し、あなたはどのニーズに応えていこうとしているのだろうか。

 視点を変えれば、このニーズとは個性の表れということもできる。あなただからこそ期待されていること、あなたにしか果たすことのできない役割だと考えることもできるだろう。これが、あなたの「独自の貢献」につながる。独自の貢献の明確化は、このニーズを考えることから始まる。

 次に「才能」。あなたにはさまざまなニーズがある。そのニーズに応えるためには、才能や能力が必要となる。つまり、あなたは何ができるのか、ということだ。

 「とりたてて才能などない」と考える人は少なくないが、意外に自分の才能には気がつかないもの。自分では当たり前だと思っていたことが、周囲から見たらすごい才能だった、というのもよくある話だ。

 それらとは別に、貢献を果たすにはそのための能力が必要となる。その能力を自分自身で明確に理解しているかどうか、あるいは身につけようと決心しているかどうかが、これからの人生に大きな影響を与える。

 3つ目は「情熱」。どれだけ「ニーズ」があって「才能」があっても、あなたの中に燃えるような情熱がなければ、そこに卓越した成果が生まれることはないだろう。これも才能と同様に「情熱を持てる対象が見つからない」と考える人もいるだろう。しかし、これまで歩んできた人生の中で、寝食を忘れて何かに打ち込んだ経験はあるはずだ。うまくはいかなかったがとても面白かったと思える仕事や出来事も少なからずあったことだろう。「自分が情熱をかけて打ち込めることは何だろう」、このことをもう1度考えてほしい。

 最後に「良心」。良心とは、あなたがどうすべきか迷っているときに、心の内面から聞こえる小さな声であり、あなたが正しいと確信させてくれ、その通りに行動させてくれるものだとコヴィー博士は説明している。

 「良心」は公平さや公正さ、誠実さといった道徳心や価値観であるともいえ、誰でも持っているものだ。ビジネスでもプライベートでも、公正さに欠ける何かを決断し実行しようとした際に「これは正しくないことだ」といった、心の中の声によって思いとどまった経験は誰にでもあるだろう。「良心」(自分の心からの声)に反する行為が、深い充足感や達成感を与えることは決してないだろう。

 「独自の貢献」は、この「良心」の観点からも考える必要がある。

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