あなたは熱気球、そして目標は空の彼方人生を変えるタイムマネジメント

これまで慣れ親しんだ習慣を捨てるのは大変なことだ。これは熱気球が飛び立つ様子に似ている。熱気球が空中に浮かぶには、地上に固定している重りを解き放たなければならない。つまり、重りが現状、あなたは熱気球、そして目標は空の彼方にあるのだ。

» 2010年12月08日 11時00分 公開
[フランクリン・コヴィー・ジャパン]

編集部から

人生は手帳で変わる 改定版

 時間を管理しなければ――。ビジネスパーソンの大半はそう思っているはずです。ところが、時間というものは管理できるのでしょうか? 本当の“時間管理”をフランクリン・プランナーの視点から描くのが短期集中連載「人生を変えるタイムマネジメント」です。

 右は8年ぶりに改定した、時間管理のバイブル『人生は手帳で変わる 改定版』。価値観をベースにし、行動を管理する第四世代手帳を解説しています。


 大半のビジネスパーソンは、企業や組織に属している。その組織から与えられた何らかの目標や課題を持ち、日々仕事に取り組んでいる。次の質問に対して考えてみてほしい。

 「あなたが現在取り組んでいる目標や課題とあなたの価値観はどのようにリンクまたは結びついているのだろうか?」

 「完全に結びついている」あるいは「十分に納得して取り組んでいる」と即答できる人はどれぐらいいるだろうか。

やりたいことと求められていることをビジョンでつなぐ

 「主体的な目標」――。通常わたしたちが目標と呼んでいるものは、大半が所属する組織や会社から与えられただけの目標であって主体的な目標とは言えない。主体的な目標とは、目標を単なる目標ではなく、その目標と自らの価値観をつなぎ合わせ、本当の自分自身の目標として納得し、設定していくものだ。

 所属する組織から求められることに対しコミットし、成果を上げていくのは当然である。しかし与えられた目標に対し、心から情熱を持ってコミットし、何があっても実現したいと考えることができる人は多くはないだろう。

 あなたには、果たしたい独自の貢献がある。そして、周囲のニーズに応える責務もある。この2つが強いリンクを持ったとき、あなたの目標達成の可能性は大きく高まるはずだ。

 また、将来を考え、独自の貢献を果たすために新たな目標を設定する必要も出てくるだろう。あなたの価値観、独自の貢献の実現とは、具体的にどのような状態を指すのだろうか。価値観や長期的なビジョンは、抽象的になりがちで、行動に直結させるのは簡単ではない。行動に直結させるには、できる限り具体的で、ビジョナリーな絵を描く必要がある。

 人は、目指す姿が具体的であればあるほど、行動に移しやすくなる。価値観から具体目標に転換する作業こそ、右脳から左脳へ、イメージ的なものから具体的なものに変換する重要な作業なのだ。

現状は重り、あなたは熱気球、そして目標は空の彼方にある

 主体的な目標を設定するということは、戦略的に現状を変革していくということでもある。つまり現状と対立することにもなる。新しい分野を開拓することはワクワクする反面、時として死ぬほど恐ろしい思いをすることになるかもしれない。

 これまで慣れ親しんだ習慣を捨てるのは大変なことだ。これは熱気球が飛び立つ様子に似ている。熱気球が空中に浮かぶには、地上に固定している重りを解き放たなければならない。つまり、重りが現状、あなたは熱気球、そして目標は空の彼方にある。

 また、現状を変えるということは、あなたの周囲にも影響を与えることになる。それによってお互いの利害に変化が生じることもあるだろうし、変化をよしとしない人も出てくるだろう。

 例えば、あなたの独自の貢献が「現在の会社組織をリーダーシップ精神があふれる組織にするため、プロジェクトチームを結成し、対話力とファシリテーション力によって組織改革を実現する」だったとする。

 当然、あなたはチームメンバーを集めるためにさまざまな人の話を聞き、参考にしようとするだろう。意見を受け入れてくれる人もいれば、そうでない人もいる。あなたの言動に反対の意を唱える人が出てくる場合もある。

 あなたは、自分自身の「もう、やめようか」という気持ちと、周囲からの「それはやめてほしい」という2つの壁と対峙することになる。いずれの壁も乗り切るのは厳しく容易ではない。

 貢献内容のレベルが高ければ高いほど、こうしたことは日常茶飯事となり、日々の計画の中にも現れてくる。しかし、ここで怯(ひる)んではいけない。あなたが成し遂げようとしているのは貢献だ。反対している人も含めての貢献だ。それはあなたにしかできないことなのだ。

 目標を設定するということは、このように現実との対峙を生むことでもある。この壁を乗り越えていかない限り、目標の実現はないということを理解しておかなければならない。

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