かつては、営業マンが営業マンでしか知りえない情報を持っていましたので、顧客もそれなりに話を聞いてくれました。しかし、インターネットの普及によって、今の顧客は商品や価格、競合についても営業マンと同等の知識を持つようになったのです。
その結果、自分で集めた情報をもとに、どういう商品が自分に合っているのか、ある程度の目星をつけた上で、営業マンと接しているのです。なので「自社商品の良さだけを押し付けてくる」「ムダなものまで売りつけようとする」――といった営業マンからわざわざ買いません。自分のタイミングで、自分が気に入ったところから、ストレスなく、買う人が増えているのです。
そんな消費者にとって、「物売り」の役目しかできない営業マンは存在価値がない、といってもいいでしょう。
野村総合研究所が2009年に発表した「生活者1万人アンケートにみる日本人の価値観・消費行動の変化」の中に、「商品購入を考える際に、無名なメーカーより有名なメーカーの商品を買うか?」という調査内容がありました。結果を見ると、「有名なメーカーを購入する」と回答した人が42.3%で、2000年の調査と比較すると約10ポイントも増加しているのです。
このように消費者がブランド志向を強めているという結果は、決して見過ごすわけにはいきません。この調査結果を見ると、営業マン主導の「販売の時代」から、消費者主導の「購買の時代」になったと考えてよいでしょう。つまり、主導権は消費者にあるのです。
ですから、今までと同じ考え方で「売り込めば、売れる」と思っていると、なかなかうまくいきません。これからは「消費者に選ばれる時代」へ突入しているのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.