美しく、都合よく死ねるのはドラマか映画だけ夫婦で始める“エクストリームコミュニケーション”(2/3 ページ)

» 2011年04月23日 15時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

テーマ127:安楽死したい? 安楽死を頼まれたら?

 確か、安楽死って日本で認められていないよね?

 うん。法的には日本では認められてなくて、刑法上殺人罪になってしまうみたい。でも、その前提はとりあえず無視しよう。ちなみに安楽死が認められているのは、スイス、アメリカ(ワシントン州とオレゴン州)、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの5カ国だって。

安楽死:末期がんなど「不治」かつ「末期」で「耐えがたい苦痛」を伴う疾患の患者の求めに応じ、医師などが積極的あるいは消極的手段によって死に至らしめること。(Wikipediaより

 つまり、本人の了解を元に自殺の手助けをするってことだよね。頼むのも、頼まれるのもキツすぎるなあ。

 自分が頼むかどうかは想像するのが難しいな。少なくとも、もしキミに(殺してくれと)頼まれたら、基本的には要求に応えたいと思う。

 うーむ、ありがとうと言えばいいのかな……。

 でも、すぐには実行しない。発作的な要因も考えられるから、キミにある程度の時間を与えて、本当に殺してほしいかどうかを再検討してもらうと思う。で、それでも意志が変わらないと確認できたら、いよいよ実行するかな。

 時間をおいて頭を冷やすのは、いい考えだと思う。

 安楽死を要求するって状況は、想像を絶する極限の状況だと思う。例えば、首から下が一切動かず、生涯寝たきりを余儀なくされるとか、末期ガンで筆舌に尽くせない痛みに24時間襲われる、みたいな。そういう状態にある人に対して、「がんばれ」とか「生きていればいいこともあるさ」とは口が裂けても言えないよね。

 そうだね。そんなこと言われたら、「ふざけんな!」って思う。

 命の美しさとか、生命の尊さといった、キレイゴトは一切通用しない世界なはず。希望も望みもない、あとは死ぬだけって状況に僕が置かれたら、生きる気力なんて持ち続けられないかも。

 私も同じかなあ。本人は死にたいのに、自分の力では死ねないって状況は辛いよね。例えば寝たきりだったら、身を投げることも、首をつることもできないわけだから。

 そういう最終的な究極の場での頼み事は、自分の配偶者にしかできないよね。我が子にも、親友にも頼めない。

 現時点では法的に認められていないわけだけど、万が一将来的に認められる可能性はなきにしもあらずなのかな。

 認められるのも、認められないのも、どっちにしても辛い現実だろうけど……。


 安楽死の話をすればするほど、自殺容認の立場になっていってしまう自分を発見してしまいました。


 自殺の是非とクロスしながらの話になりました。自分たちの知る限り、親族ではそういう話は聞いたことがなく、想像するのが難しかったです。


テーマ128:死後の世界について

 宗教的な話にするつもりはないんだけど、死後の世界ってあるのかしら。いわゆる、天国とか地獄とか。

 根拠はないけど、あるんじゃないかなあ。

 オカルトの類は信用しないけど、死後の世界は私もあるような気はする。

 世界にはたくさんの宗教があるけれど、天国と地獄の二極化した世界があって、現世の行いによってどちらに行くかが決まるものが多い。このコンセプト自体は、わりと共通化された世界観だよね。

 厳密には細かな違いはあるんだろうけど、だいたいあってると思う。

 死後の世界がもしあったとしても、1つ間違いないのは「死者には、死後の世界がどんな世界かを現世に伝達する方法を持っていない」と思うんだ。仮に、ナカヤマ教という宗教があって、それが正しい宗教だったとする。一方、ナカヤマ教以外の宗教は正しくない宗教だったとしよう。で、ナカヤマ教徒以外の人々は死んで初めて後悔するわけだ。「あちゃー、生涯かけて信じてきた○○○教はデタラメだったのかー。正解はナカヤマ教だったのかー。失敗したー」って。

 マンガみたいな描写だね。まあ、言いたい事は分かる。

 で、ナカヤマ教徒以外の間違っていた人は地獄に落ちるわけだけど、あっちの世界からこっちの世界にメッセージが届いた試しはないよね。「おーい、生きてるみなさん、○○○教は間違いだよー。今からでも遅くないから、早くナカヤマ教に信仰を変えた方がいいよー」って、アドバイスはないよね。

 もし、そんな死者の言葉を知ることができたら、信じるべき神が地球上で統一されるわけだから、宗教戦争はなくなるのかな。その前に、失業した宗教関係者が地球規模で急増して、たいへんなことになりそう。そもそもナカヤマ教ってありえないし(笑)。

 ナカヤマ教はたとえ話だから、そーゆー心配はさておき、こうして考えると、死者が現世への連絡手段を持たないのは、間違いのないんじゃないかな。

 そうだね。でも、もし死後の世界そのものがないとすると、手段の有無云々の話ではないけどね。

 確かに。話していてふと思ったんだけど、死後の世界はもしかすると、天国と地獄っていう二極化された世界じゃなくて、実は1つしかなく、全員がその国(天国)に行くのではないかという気もしてきた。

 なにその斬新な説。

 どんな人間も、善人も悪人も関係なく、1つの死後の世界(天国)に行き、全員が平和に暮らしている。でも、それを現世に知られてしまうと、「現世でどれだけ罪を犯しても、天国に行けるんだってさ。だったら犯罪しまくりだぜ、もう働かないんだぜ、ヒャッハー」って世紀末的に犯罪が多発したり、モラルが崩壊してしまうよね。だから生きている間は、死後の世界の事実を知ることはない。それは神様が絶対に阻止する。死んでようやく「なんだー、そうだったんですかー。早く言ってくださいよ、神様もイジワルだなー」となる……。

 そうだったらいいなーという希望を込めて一票。でも、その暴論、まじめな宗教家の人たちが聞いたら怒るだろうなあ。


 自分のこの死後の世界説、あながち間違いではないような気がするのですが、いかがでしょう。生きているうちに確かめるられないのが、つらいところですが。


 あまりにも現実離れした話になったせいか、割と明るく話すことができました。いくら話しても正解に行きつくことはないと分かっていますが、死に対していくぶんか気が紛れました。


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