iPhoneと駐車場「タイムズ」の意外な共通点Appleビジネスに学ぶ(2/4 ページ)

» 2012年05月22日 11時30分 公開
[シックス・アパート 伊藤大地,Business Media 誠]

 前置きはこのくらいにして。Appleファンの皆さん、おまたせしました。早速、Appleの変遷を見てみましょう。

「1000曲入る」がウリだったiPod発売時

 iPodの価値提案(VP)といえば、何といっても「1000曲がポケットに入る利便性」「Macとの連携」でしょう。収益の流れ(RS)は、iPodを販売することによって得られる販売代金ですし、チャネル(CH)は小売店、直営店ですね。パートナーは、製造メーカーなどが挙げられそうです。

iTunes Music Storeができたころ

 これが2003年にiTunes Music Store(現在のiTunes Store)ができたことで、大きく変わります。まず価値提案には「99セントで音楽が買える!」というものが入り、収益の流れも楽曲の販売代金が加わります。Appleの主要活動も「音楽販売サイト運営」というプラットフォーム的な側面が出てきます。パートナーには音楽レーベルが含まれるでしょうし、コスト構造も著作権料の支払いが発生しています。

iPhone以降(←イマココ!)

 さあ、さらに進んで、iPhone以降をマッピングしてみましょう。

 収益の流れが、飛躍的に多くなっています。音楽の販売代金だけでなく、アプリ、映画、電子書籍の販売代金や購読料、通信事業者とのレベニューシェア(iPhone発売当初)、iADを使った広告収入……。顧客層も、Macファンやガジェット好きだけでなく世界中のケータイユーザーに広がりますし、コンテンツを作る開発者も端末を買う、という側面も見逃せません。パートナーもテレビ局、映画スタジオ、通信事業者など飛躍的に伸びています。

 既にさまざまな方面で言及されているので「こんなの常識だよ」と思われるかもしれません。しかし、こうしてマッピングすることで、AppleがiMacのようなクールなハードを作っていた「メーカー」から、「格好いいデバイスを軸にいろんなコンテンツ販売のプラットフォームまで持つ巨大企業」に大きく変化してきたことが、より分かりやすく整理できます。

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