働くということは、自分の時間を会社に売っているのと同じこと。「自分をいくらで売るのか」の基準は人それぞれだが、その基準を持たないでいると、いつしか自分を安売りしてしまうだろう。
今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?
働くということは、つまり自分の時間を会社に売っているのと同じこと。そこに経験や技術、ノウハウといったエッセンスが加わることで、その人の「時間の価値」は異なってくる。だから昇給や昇格という制度があるのだ。
1日が24時間であることは、誰しも同じである。しかし時間の使い方は十人十色。定時に帰る人もいれば、残業が普通のように過ごしている人もいる。「自分は忙しいから」と言うかもしれないが、それは間違いだ。本当に効率的な仕事をしている人は、どんな仕事をさせてもスピードが違う。試しに周りを見渡して、いわゆる「デキる社員」に自分と同じ仕事をさせてみればいい。
忙しいという人に限って、実は1日の中で無駄な時間を多く過ごしている。時間はパズルのようなもので、うまく組み合わせないと決して自分の望む形にはならないのだ。こうした「時間」を見る視点そのものが「時間の価値」を左右するキーポイントとなる。
ただし、新卒で入社したばかりのころは少し違う。商品や業界、あるいは社会そのものについて何も知らないのだから、その時間に会社として価値はほとんどないだろう。しかしそれでも初任給を支払うのは「将来性」に対する投資なのだ。教育を含めた事前投資を行うことで、数年後にそれ以上の価値を発揮し、会社に貢献してくれることを求めている。だから入社後すぐに「給料が低い」などと文句を言うのは、それこそ御門違いもいいところだ。
不況下において、
などは、良く聞く話である。私は「Work Plan」というサイトでキャリア関連の相談窓口をなかばボランティア的に行っているが、本当にこの手の相談は多い。実態としてそのほとんどは、勝手にその不満に対する結論を持っている。それが「仕方ない」である。しかし、本当に「仕方ない」のだろうか?
少し簡単な計算をしてみたいと思う。月収30万円で、1日8時間労働を月20日行っていたとしよう。時給で表すと以下の通りだ。
では同じ労働時間で、月収が5万円カットされたらどうだろうか。
アルバイトやパートタイム勤務の方が、実は「時間と給与」の関係においてシビアに考えている。月収や年収という大きな括りになると、どうも金額が大きいからか感覚が鈍くなるようだ。
上記の例であれば、時給で313円も下がっていることとなる。例えば時給900円くらいのアルバイトを経験したことのある方は多いと思うが、ここから時給が313円下がったらどうだろうか。最低賃金すら割る金額となり、きっとすぐに辞めるはずだ。当たり前の話だが、このことをよく理解していない人が多い。
もちろん時給換算1562円なら、アルバイトと比べれば高い方である。そこに正社員という「安心」も加われば、悪くない条件には思えてしまう。しかし正社員は時間的拘束が強く、業務内容が会社の方針で変わることもあり得るなど、アルバイトにはないマイナス要因も存在する。アルバイトではそもそも収入面でも不足するからこそ、正社員を目指す部分もあるはずだろう。
給与が下がるということは、つまり会社からあなたに見出す「価値」が下がったと言うことだ。厳しいようだが、働くことが自分の時間を会社に売っているという構造から考えれば当然のことである。どんな事情があるにしても、このことは変わらない。その証拠に給与に関する不満をぶちまければ、返ってくるのは「それなら辞めてくれて構わない」の一言だ。
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