プリンタや複合機を販売するブラザーが、ドキュメントスキャナ市場に参入した。その参入第1弾モデルとなるシートフィード型モバイルスキャナ「MDS-600」と「MDS-700W」のレビューをお届けする。
プリンタや複合機を販売するブラザーが、ドキュメントスキャナ市場に参入した。「自炊」や「ペーパーレス」で注目を浴びるジャンルだけに、気になっている人も多いはず。今回は、その参入第1弾モデルとなるシートフィード型モバイルスキャナ「MDS-600」と「MDS-700W」のレビューをお届けする。
MDS-600およびMDS-700Wは、いずれも「シートフィード型」と呼ばれるタイプのモバイルスキャナ。A4原稿や名刺を手差しで1枚ずつ給紙し、原稿をデジタル化する。複数枚の原稿を連続自動給紙するためのADFは未搭載なので、数百ページにおよぶ書籍を丸ごと自炊する用途には、そもそも向いていない。
では、MDS-600とMDS-700Wの強みは何なのかというと携帯性と収納性だ。片面スキャンタイプのMDS-600は重さ約315グラム。サイズも282×50×39ミリで、スキャナとしてはかなりコンパクトな部類だ。実際手に取ってみても、片手で無理なく持てるし、突起もほとんどないので、カバンへの収まりもいい。強いて言えば、折りたたみ傘のサイズと重さに近いだろうか。キャリングケースが同梱している点からも、モバイル志向の製品であることがハッキリと伝わってくる。
コンパクトであることのメリットは他にもある。真っ先に思い浮かぶのは、未使用の際には引き出しなどにしまっておける点だろう。
限られたデスクスペースを有効に使う意味でも重要だ。オフィスの個人デスクにA4対応フラットベッド型スキャナを置くのは難しい人もいると思うが、MDS-600なら十分可能。例えば、業務フロー上どうしてもスキャナを使いたい顧客窓口などでは、MDS-600の独壇場だろう。部署共有の複合機でスキャンできる人も多いだろうが、回数が多い場合はむしろMDS-600を1人1台用意した方が、足を運んだり順番待ちしたりするロスも減る。
筐体自体はコンパクトであるが、給排紙のスペースが必要になるのは他のドキュメントスキャナとまったく同じだ。本体正面側から原稿を読み込むと、そのまま背面にストレート排紙する。スキャンするその瞬間は、原稿と同じだけのスペースが必要になるわけだが、引き出し内に収納できるほどコンパクトなMDS-600およびMDS-700Wであれば、大きな苦もなく設置場所を調整できるだろう。
では、MDS-600の外観を詳しく見てみよう。インタフェースは非常にシンプルで、スキャン用アプリの起動ボタンと原稿挿入口があるだけで、電源スイッチすらない。ただ、パイロットランプもないのは若干不親切な気もする(PCとの接続状態は、スキャン用アプリに表示)。
もう1つ気になるのがUSBコネクタの形状。モバイルタイプのPC用周辺機器といえば、最近はmicroUSBが主流だが、MDS-600は標準タイプのUSB Bコネクタとなっている。
例えばスマートフォンユーザーの中には、筆者のように外部充電バッテリーを持ち運びしていて、接続用のmicroUSBケーブルを携帯している人もいることだろう。しかし、MDS-600だと、そのケーブルを使い回せない。モバイラーにとっては、ケーブル1本と言えども持ち運ぶ荷物が増えることには抵抗があるはず。変換コネクタがあれば事足りるのかもしれないが、ここは配慮してほしかった。
ただし、MDS-600はUSBバスパワー駆動のため、ACアダプターを持ち運ぶ必要はない。補助電源用コネクタも不要としているので、この点は大きな強みと言える。
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