MDS-600とMDS-700Wは発売元のブラザーにとって、記念すべき単機能スキャナ国内第1弾モデル。市場で先行するPFUの「ScanSnap」やキヤノンの「imageFORMULA」と、今後直接的に競合していくこととなるだろう。
ただし、MDS-600とMDS-700WはADF非搭載ということもあり、ドキュメントスキャナとしては比較的ローエンドな位置付けにある。書籍の自炊を頻繁に行うユーザーのニーズを直接的には満たせないはずだ。
現在の市場において多数派を占める「ADF搭載型ドキュメントスキャナ」は、高価である一方、多くの用途に使える“万能性”も有している。スキャナをどんな用途に使うべきか定まっていない初心者ユーザーであってもそれなりに使えるし、名刺スキャンを月100枚単位で実行するユーザーにとっても有益な製品だ。
そういった意味においてMDS-600とMDS-700Wは、「1枚ずつのスキャン」「引き出しにしまえる」「USBバスパワー駆動」といった特徴を十分にメリットとして感じられる、中・上級者向け製品だと言えるだろう。
しかしながら、製品標準同梱の読み込み用ソフト「Mobile Document SCAN」は全体的に機能不足だ。シートフィード型スキャナゆえに、あえて機能を絞った側面はあるだろうが、ADF搭載機とそれほど差別化する必要はないように思う。
ブラザーはADF搭載型モデル「ADS-2000」を7月下旬に同じく発売している。実は、今回指摘した不足機能(用紙サイズの自動検知機能など)についても、ADS-2000では既に搭載されている模様だ。機材貸し出しの関係で今回は検証できなかったが、こちらも改めてレビューできればと思っている。
また、ブラザー製ドキュメントスキャナーの中で本命となりそうなのが、10月初旬発売予定の「ADS-2500W」だ。発表済み4モデルのうち、無線/有線LAN接続やクラウドとの直接連携を唯一実現しているモデルでもある。この製品が登場する前に、ブラザー製スキャナーの実力を断じるのは、さすがに早計だろう。年末のスキャナー市場が果たしてどう動くのか、今から楽しみだ。
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