会社員はこんなにも恵まれているRe:Work !(2/3 ページ)

» 2013年01月07日 12時30分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

常に「学べる」環境

 会社には、必ずと言って良いほど「教育制度」がある。立ち上げたばかりのベンチャー企業であっても、入社時のOJT研修はあるはずだ。入社初日からいきなり「1人で頑張れ!」なんて、私の知る限りではありえない。例えそう言われたとしても、常に先輩・上司はあなたを見ていて、適宜ノウハウを提供してくれる。

 教育制度は、社員に会社にとってプラスになってもらうための制度である。採用には多くの時間やコストを割いているわけだが、これはいわば投資だ。入社後にそれ以上の益を会社にもたらしてくれることを期待しているのである。教育についても、この投資の一部と言えるだろう。

 常に自分以外の誰かがいる環境は、つまり常に学べる環境にいるということだ。分からないことは先輩や上司に聞けるし、逆に後輩へ教えることで学べることもあるだろう。会社によっては、こんな環境を持つものもある。

  • 業界紙やビジネス誌を定期購読して、誰もがいつでも読める
  • 資格取得を支援してくれる(受験料の一部負担など)
  • 書籍購入費の補助
  • 経費でのセミナーや講習会参加

 恐らく読者の中には、もっとユニークな教育制度を持つ会社で働いている人もいることだろう。費用補助などは福利厚生として考えられがちだが、結局のところは「学び」につながるわけだから、私はこれらを教育制度の一環として考えている。

 それに対し自ら求め、手を伸ばさなければ学びを得られない。それがフリーランスである。もちろん仕事を通じて学びを得られるが、そもそも先に述べた通り、仕事そのものも自分で取ってこなければいけない。

 書籍類の購入やセミナー参加などは、それこそ全てに手を出していたら、とんでもないコストになる。しかしそれをサポートしてくれる人などは、一切いない。

 もちろん費用をかけなくても、学びは得られる。人との出会いなどは、この最たる例だろう。私も独立してから、実に多くの学びを出会いから得ている。しかしこの話をすると、よくこう言われるものだ。

 「どうやって、そんな素晴らしい人たちとつながったんですか?」

 そう、つまり出会いすらも、自ら求め手を伸ばさなければ得られない。

 Twitterで見かけた面白い集まりに飛び入り参加したり、興味のある講演を開催する人にボランティアを申し出たり、私も学びを得るために動き回っている中の1人だ。たまに逆にWebサイトなどから私に「会いたい」と言ってくれる人もいるが、目的がしっかりとある方であれば、できるだけ会うようにしている。フリーランスは、学びを得るのも大変なのだ。

 会社員が常に学べる環境を会社から自然に与えられているということが、どれだけ素晴らしいことなのかお分かりいただけるだろう。当然と思っている環境があるからこそ、新卒社員は安心して社会へ出ていけるし、長きにわたってスキルアップしていける。そこにきてさらに自ら学んでいくことも可能なのだから、われわれフリーランスは必死なのだ。

子どもがいたらリスクになる?

 会社員は、さまざまな面で会社から守られている。毎月ちゃんと給与は得られるし、多くの会社は賞与もあるだろう。決まって休みが取れるし、さらに有給休暇なんてものまである。他にも結婚すると祝い金がもらえたり、子どもが産まれると手当が出るなんて会社も少なくない。

 私は現在、子どもが2人いる。これからの将来が実に楽しみな、2歳児と5歳児の男の子だ。長男が生まれたのは、社会人になった2007年。独立したのは2010年だから、そのときには既に子持ちだったわけだ。加えて「独立する!」と決めたときには、既に妻のおなかの中に次男がいた。

 恐らく何人かの人は、こう思うのではないだろうか。

 「よく子どもがいて、すんなりと独立を決めたな」

 正直自分でもそう思うし、独立したころは周囲からも言われたことだ。この背景には、恐らく金銭的な不安を感じているのだろう。

 私は資金ゼロ&クライアントゼロで独立したので、かなりリスキーな選択だった。その辺のストーリーは置いておくが、逆に考えれば、独立しているという状態にとっては、「子どもを持つ」ということすら大きなリスクとなるのだ。

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