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» 2013年01月09日 15時10分 公開

新しい「自分の場所」を手に入れるRe:Work !(2/3 ページ)

[三河賢文,Business Media 誠]

レンタルスペース「トホイチ」

 場所作りが行われているのは、何も都心部だけではない。実は私も運営に携わっているのだが、東京のいわゆる「下町」にもレンタルスペースがある。それが、京成高砂駅徒歩1分の場所にある「トホイチ」だ。

 寅さんで有名な柴又をご想像いただけば、イメージしやすいだろうか。その柴又からも、徒歩で行ける場所にある。企業というより個人商店などが多い地域だ。宣伝のようで気が引けるのだが、まだまだ下町地域にはレンタルスペースなどの場所が少なく、紹介したい。

原点は「地域を活性化したい」という思い

 現在トホイチがある場所は、もともとパソコン教室だった。パソコン教室を運営するマクセードの太田裕巳さんが、新たな取り組みとしてそのスペースを有効活用しようと始めたのがトホイチである。

 トホイチは太田さんをはじめ、4人の主要メンバーで運営している。地元でIT経営コンサルティング会社のイオアートを営む小田朋和さん、葛飾区出身でオーダーメイド商品の製造・販売やイベント企画を行うtj-brand(http://tj-brand.net/)の辻洋介さん。そして、ナレッジ・リンクス代表、兼ライターの私三河。

 それぞれが事業を経営しながら、時間を投資して運営するトホイチ。その理由は、葛飾区という地域を活性したいという思いだ。

 特に葛飾区は、IT関連で他区に比べてかなりリテラシーが低い。これは、実際に区内で仕事をしていると痛いほど感じる事実である。そこに着眼し、「葛飾区は、ITでもイケてる!」と認識されることが、トホイチの目指すイメージなのだ。

イベントを通じて、IT人材が集まってきた

 トホイチは、PCを完備したレンタルスペースである。1時間単位で借りられ、会議やセミナーなどで貸し切ることも可能。教室を営んでいただけあって、PCにはデザイン関連のソフトなども完備している。

 現在は月契約での利用者や、セミナーなどで貸し切る利用者も増えてきた。しかしそこに至るまでは、長い道のりがあったのだ。



 レンタルスペースだけでは、人が集まらない。そもそもそういったサービス自体も地域には浸透しておらず、地域住民にとっても、トホイチはえたいの知れない場所と思われたのかもしれない。

 特に葛飾区は、あまり「仕事に来る」「仕事をする」場所ではない。どちらかと言えばそこに住んで、「仕事に出て行く」場所といえる。そのためこの場所を喜びそうなビジネスマンは、夜と休日を除いてみんな区外へ出て行ってしまっているのだ。

PC使い放題の交流会を開催

 この事態を解決へと導いたのが、イベントだった。トホイチでは毎月、第1、3水曜に交流会を開催している。交流会ではトホイチでしか飲めないオリジナルのハイボールが飲め、さらにその間、PCは使い放題。例えば参加者同士で話している中で、話題になったことをその場で検索できる。

 この取り組みが少しずつ広がり、参加者は徐々に増えている。中には、第1回から欠かさず参加する人もいるくらいだ。エンジニアやWebディレクター、アプリ開発者など、会社員あるいはフリーで働くスペシャリストが中心に集まる交流会は、私から見ても葛飾区とは思えない話題で盛り上がる。

 開催は毎回夜。だからこそ、区外で働く人でも参加できる。中には区外から参加する人もおり、トホイチを中心としたネットワークが生まれ、そして情報が発信されるようになっている。

 レンタルスペースそのものの利用者数はまだ伸びしろがある状況だが、まずは「人が集まる」場所作りができた。都心で働いているからといって、周辺に住んでいるとは限らない。こうした場所がもっと増えれば、住んでいる地域を問わず「会社を離れて好きなことをする」というワークスタイルが、さらに自由度を増すのではないだろうか。

トホイチ( http://www.tohoichi.com/

住所:東京都葛飾区高砂3-11-14 ステーションハイツ高砂1F

TEL:03-6914-7856

営業時間:11〜17時30分。フルタイムを希望の人は6〜25時の間で1日8時間まで利用可

料金プラン:1時間400円から(学生は300円)


 トホイチの利用者は、口々に「こんなにITやビジネスに詳しい人が、葛飾区にいることを知らなかった」と言う。当然のことだが、機会がなければ人とのつながりは生まれない。こうした場所作りは、地域活性においても確かにメリットのあるものだと確信した。

 また中には、トホイチができたことをキッカケに、完備しているPCで3DCGを学んだり、デザインソフトの操作を勉強したりする人もいる。そこから、新たなデザイナーが生まれるかもしれないのだ。

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