今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?
何か新しいことを始めよう――。そう思ったとき、1つ問題となるのが場所である。例えば副業をするのに、会社のPCを使うなんてありえない。もしかしたらそういう人もいるかもしれないが、少なくとも私は、それはルールに反すると思う。たとえ休憩中であっても、あくまで会社のPCは、その会社の仕事をするために支給されているのだから。
では、自宅はどうだろうか。私は数年前に戸建てを購入して、その一室をオフィスにしている。そこには仕事に関するもの以外、ほとんど何もない。疲れを癒すマッサージチェアと、リフレッシュ用の筋トレグッズがあるだけだ。これで私は「仕事ができる環境」を作っている。
しかし中には、そうはいかない人も多いだろう。1人暮らしのワンルームでは、私だって恐らく集中できない。すぐにテレビを付けたり、ふとベッドに横たわってそのまま寝てしまうのが想像できる。
そんな中、最近シェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルスペースなどと呼ばれるものが増えている。月額、あるいは時間単位で「場所」を借りることで、会社でも自宅でもない、新しい「自分の場所」を手に入れられるサービスだ。
そこで今回は、立地やコンセプトの全く異なる3つのサービスを紹介したい。
渋谷駅ハチ公口から徒歩3分の好立地にあるのが、Connecting The Dots(以下、Dots)だ。会社員から主婦、学生、観光客に至るまで、まさに幅広い人の集まる地域といえるだろう。
Dotsは、建築設計や各種デザインなどを手掛けるインクルードデザインが運営している。
代表の北川さんはもともと、建築設計の出身。設計事務所で働いていた際には、オフィスや店舗など、いわゆる「人が集まる場所」を多く手掛けていた。しかし完成してしまえば、その後を見ることはできない。北川さんは、そのことをとてももどかしく感じていた。なぜなら、人とのかかわりなくして場所作りなんてできないと思っていたから。実際にその場に集まる人たちを、あくまで空想しながら作ることしかできなかったという。そのため、本当の場所作りを目指して独立。Dotsという場を自分で作ることにした。
特にクリエイターは、その多くがいわゆる下請けになりつつある。モチベーションが保てないクリエイターも多く、もっとダイレクトに外へ発信していける手段はないかと考えた。そこで北川さんはDotsにクリエイターを集め、みんなで情報を発信していきたいと話す。
Dotsは「対話と集中」をキーワードに運営している。目指すのは、アイデアの活性化や刺激、コミュニケーションを生むと同時に、アイデアを洗練させるために集中もできる場所。Dotsがコワーキングスペースとシェアオフィス両方の顔を持っているのは、このためだ。北川さんは「コワーキングだけだと、どうしても補完できない人が出てきてしまう。1人で集中する時間も、人と交流する時間も両方大切」と話す。
またイベントなども定期的に行い、人と人とが自然とつながれる場も用意している。週1回ほどイベントを行っており、Dots利用者もそうでない外部の人も参加できる。
イベントの内容はさまざまで、みんなでサッカー観戦をしたり、美味しいものを各地からお取り寄せしてたりしてみんなで食べる会なども開いた。その他に、勉強会なども開催している。
シェアオフィスなどはマンネリ化してしまうので、こうしたイベントを開催することで、仕事とはまた異なる刺激を得てもらいたいのだという。
その他にも、Dotsでは利用者からも意見を吸い上げながらさまざまな取り組みをしている。例えば「GIVE&TAKEカード」は、人と人、仕事と仕事とをマッチングさせるものだが、これは利用者から出たアイデアを採用したものだ。
カードに自己PRとやって欲しいことを書き、Dots入り口のボードに貼る。求人や求職を掲載するイメージだ。それを見て「自分なら手伝える」と思った人が、直接利用者に声を掛けていく仕組みになっている。
住所:東京都渋谷区神南1-20-7 川原ビル6階
TEL:050-5806-6534
営業時間:10〜23時
料金プラン:1日利用が1050円。月会員が1万5750円から。メンバー登録料525円が発生する
Dotsには、ライターやデザイナー、開発者などのクリエイターをはじめとして、実に多様な利用者が集まっているそうだ。利用者からDotsに対するアイデアが出るといった話からは、利用者が主体的にDotsという場所を盛り上げようとしているように感じる。
会社員などフリーランス以外の利用者も増えているとのことだが、そういったダブルワーク的な働き方が広がり、そしてその働き方のニーズにシェアオフィスやコワーキングスペースという場がマッチしていることを表していると言えそうである。
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