宅配システムが高度に発展した現在の日本では、配達時間を指定できるサービスはもはや当たり前。しかし当時は、コストが掛かるものとして猛反対を受けていたのです。
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身に付けることが重要です。
成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させています。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。
さて、ここで問題です。
宅配システムが高度に発展した現在の日本では、配達時間を指定できるサービスは、珍しくはありませんよね。サービスは普及してしまえば、当たり前のことに思えますが、それが存在しない時代にはそのニーズに気が付きにくいもの。本当に人間が求めるぜいたくや利便性に限界はないんですね。
ところで、1976年にクロネコヤマトの生みの親であるヤマト運輸の元社長、小倉昌男氏が、周囲の猛反対を押し切って国内初の宅配便サービスを成功させたときにも、上記と同じ「顧客の配達時間指定の要望に応じるべきか」議論が巻き起こりました。普通に考えると、余分に配達回数が増える分、無駄なコストが増えそうに思えるからです。
しかし、実際には「見えないコスト」がもともと存在していました。それは、配達員がピンポーンと呼び鈴を押しても、留守で誰も出てこないことによって生まれるロス。配達員は何度も荷物を持って建物内に入り、呼び鈴を鳴らし、また不在票を記入してポストに投函して荷物を持ち帰らなければならない。これは、大変な見えないコストです。
もし、配達員が留守宅を回るために要した時間を、確実に配達する時間に当てることができたとしたら、利益を上げられたことになります。
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