「明日、倒産します」と言われたら?Re:Work !(1/4 ページ)

いま会社がなくなったら、あなたはどうするか?――。会社は自分を「護ってくれる」ものではない。想像し得る中で最悪のケースを想像し、また自分に問いかけてみよう。

» 2013年02月13日 11時25分 公開
[三河賢文Business Media 誠]

連載「Re:Work」とは

 今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?


 誰にも、明日の保証などない。今どれだけ順風満帆な毎日を送っていたとしても、明日には道ばたで生活しているかもしれない。少し極端な話ではあるが、これは事実だ。

 以前、「会社員はこんなにも恵まれている」という記事を書いた。会社員だからこそ得られる恩恵がたくさんあるわけだが、そこに安心しきっていると足をすくわれるかもしれない。まして私のように独立して仕事をしている人は、常にそんなリスクと隣り合わせなのだ。

 私は結構、楽観的な方だろう。「何があっても、なんとかなる!」と思っているし、家族からはそこに危うさを感じられているかもしれない。しかしそこに、何の根拠もないわけではない。足りないものは山ほどあるだろうが、出来うる限りの“準備”はしているつもりだからだ。それは仕事における知識や経験の蓄積だけでなく、気持ち的なものも含む。

家族だけは守る

 独立を決めたとき、私は嫁にこう話した。

 「どうしようもなくなれば、仕事なんて選ばず何でもやって家族は守る」

 これは、今でもその覚悟を持ち続けている。私はいざというとき、この“覚悟”こそ一番の武器だと思っている。「なんとかする」気持ちがあるからこそ、結果としてなんとかなるのだと。これまで大小さまざまな苦境に立たされてきたが、真摯(しんし)に向き合いあきらめずに取り組むことで切り抜けて来られた。

 繰り返しになるが、人生なんて、いつ何が起きるか誰にも分からない。試しに、頭の中で今考え得る最悪の状況を思い描いてみて欲しい。そうなったとき、あなたは切り抜けられる自信があるだろうか。

企業は海に浮かぶ“船”にすぎない

 私は会社を、大海原を行く帆船のようなものだと思っている。漫画『ONE PIECE』が人気を博しているが、まさにあんな感じだ。船長が指示を出し、クルーはその指示に従って進む。追い風が吹けば自然と速度を上げていくし、向かい風になればスピードは緩やかになるだろう。自然というやつは手強く、そう簡単に目的地へなど到達できない。

 会社は、大きくなればなるほど不透明な部分が多くなってくる。上層部だけで止まっている情報なんて山ほどあるし、あなたの知らないところで会社は良くも悪くも動いているのだ。

 例えば企業が経営破綻したとして、そのことを最初に予期できるのは経営者である。その危険性を知った経営者は、なんとか会社を持ち直そうとする。ちょうど、嵐に遭った船のようだ。

 しかし社員全体がその危機に気付くのは、ほとんどの場合において既に手遅れの状態になってからだろう。なぜなら、「我が社は倒産しそうです」なんて言ったら社員の士気は下がるし、いたずらに不安を与えるだけだからだ。場合によっては、退職を考え出す社員だって出るかもしれない。

 実際私も、会社員だった際に“危うい状況”というやつに直面したことがある。ただ私の場合、思った以上に冷静だった。そのころは副業もしていて、会社では得られない経験や知識を身に付け始めていたからだ。また会社が自分を「護ってくれる」ものだとは思っていなかったし、その事実を冷静に受け止められたのもあるだろう。

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