AmazonやZARAが実現している「ありえない効率化」トップ1%の人だけが実践している思考の法則(2/3 ページ)

» 2013年03月12日 09時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

オンラインショップの成功要因

 オンラインショップは、Webサイトのデザインがかっこいいだけで勝てるほど単純ではありません。顧客の注文に対して低価格な商品を、正確かつスピーディに配送しなければ生き残れないのです。

 例えば、オンラインショップの強みに「ロングテール」があります。これは少量しか売れないものも取り扱いアイテム数が大量にあればビジネスになるオンラインショップならではの強みを表した言葉です。アイテムごとの売り上げ曲線が恐竜のしっぽに似ていることから名付けています。

 しかし、その強みもアマゾンのような巨大な倉庫を郊外に持ち、注文に迅速に対応できる仕組みができているから成立します。大量の注文が一気に増えると、遅配、誤配、品切れなどすぐに品質低下を招きます。これを人為的な努力だけでカバーするのは難しいものです。

 アマゾンの最初の配送センターは1万平方メートルに満たない倉庫でした。しかし2011年末にはおよそ250倍の大きさに膨れ上がっており、アマゾン自身も自社ビジネスのリスク要因の1つに、商品発送センターおよび倉庫での作業効率化を挙げているほどでした。

逆転的発想を実現するテクノロジー

 物事の効率化を図る場合に、必ずしも「より速く、よりミスを少なく、より丁寧に」といったカイゼンのアプローチだけではうまくブレイクスルーしないことがあります。クリスマスシーズンに普段の数十倍の注文が一度に来ても、発送が遅延しない仕組みを作るのであれば尚更です。

 これまでもアマゾンは、コンピュータに指示されたアイテムを拾い集めていくだけで商品を発送できるほど、既に自動化は進めてきました。

 しかしさらなるスケールアップに対応するための経営課題を、棚ロボットがひしめく自動化倉庫の構築によって乗り切ろうとしています。これは、自動化+逆転的発想のアプローチといえるでしょう。

 オンラインで注文しようがしまいが、リアルなアイテムを販売するビジネスであれば、物流の仕組み作りは生命線になるはずです。多品種少量生産で、小口の注文に迅速に対応するのであればなおさらです。

 例えば、以前の小売業はたくさん仕入れて、売れ残ったらバーゲンセールで処分する流れが通例でした。大量生産するため「どれだけ正確に需要を予測できるか?」が鍵だったわけです。

 しかし実際の需要は多様で、変化が激しい。現在はいかに小ロットでモノを作り、売れ残りを減らすかが鍵です。「もう少し売れるかもしれない」機会損失よりも「売れない在庫」のリスクを減らした方が、トータルとして利益率がよいことなのでしょう。

 そのため、成功している小売業の多くが製造から小売までを垂直統合したビジネスシステム(SPAといいます)を構築しています。

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