エプソンは3LCD方式のビジネスプロジェクターに常設型の9モデルを追加した。プロジェクター製品でトップシェアを持つ同社だが、常設型は比較的弱いカテゴリーとのことで、今後は常設型製品の売り上げ増加を目指す考えだ。
エプソンは3月12日、ビジネス向けプロジェクターの新製品9モデルを発表した。いずれも3LCD方式を採用した液晶プロジェクターで、大学などの講堂や大会議室、ホールへの導入を想定する常設向けの大型機となる。
価格はオープンで、2013年3月29日より順次発売する。それぞれの想定実売価格や発売日は以下の通り。なお、EB-G6900WUのみズームレンズが付属せず、重量はレンズを除いた本体の重量となる。
ビジネスプロジェクター新機種の主な仕様 | ||||||
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製品名 | 解像度 | 明るさ | コントラスト比 | 重量 | 想定実売価格 | 発売日 |
EB-G6900WU | 1920×1200 | 6000ルーメン | 5000:1 | 9キロ | 110万円前後 | 2013年6月20日 |
EB-G6750WU | 1920×1200 | 6000ルーメン | 5000:1 | 9.7キロ | 95万円前後 | 2013年5月27日 |
EB-G6550WU | 1920×1200 | 5200ルーメン | 5000:1 | 9.7キロ | 80万円前後 | 2013年3月29日 |
EB-G6250W | 1280×800 | 6500ルーメン | 5000:1 | 9.7キロ | 80万円前後 | 2013年3月29日 |
EB-G6050W | 1280×800 | 5500ルーメン | 5000:1 | 9.7キロ | 67万円前後 | 2013年3月29日 |
EB-G6350 | 1024×768 | 7000ルーメン | 5000:1 | 9.7キロ | 65万円前後 | 2013年3月29日 |
EB-4950WU | 1920×1200 | 4500ルーメン | 5000:1 | 6.7キロ | 65万円前後 | 2013年6月20日 |
EB-4750W | 1280×800 | 4200ルーメン | 5000:1 | 6.6キロ | 43万円前後 | 2013年6月20日 |
EB-4650 | 1024×768 | 5200ルーメン | 5000:1 | 6.6キロ | 43万円前後 | 2013年6月20日 |
今回の新製品投入は、常設型モデルの中でも比較的低価格な機種を拡充することを目的としており、モデル数は11モデルから16モデルに増加した。新製品の機能については、ほかの常設型モデルと同様だ。超解像度技術やフレーム補間といった高画質処理機能や、自社開発液晶パネルのC2FINE技術、オートアイリスによる5000:1の高コントラスト比のほか、設置から投写までの作業を楽にする各種補正機能を備える。
ボディカラーは基本的にホワイトだが、プロジェクションマッピングなどのイベントへの貸し出しを想定した「EB-G6900WU」については目立ちにくい色合いのブラックを採用した。さまざまな会場に対応できるよう標準のズームレンズは付属せず、HD-SDI端子により、業務用放送機器と組み合わせて使用できる特徴がある。
ボディデザインやインタフェースなどの仕様は、9モデルでほぼ共通だ。インタフェースはアナログRGB、5BNC、S-Video、HDMI、DisplayPort、RCAの映像入力、アナログRGBの映像出力、有線LAN、USB(EB-G6900WUを除く)などを備える。EB-G6900WUとEB-G6750UはHDBaseT端子を備えており、オプションのHDBaseTトランスミッターにより、最大100メートルの映像伝送が可能となる。
EB-Gシリーズ6機種の本体サイズは505(幅)×382(奥行き)×144(高さ)ミリで、重量は9.7キロ(EB-G6900WUを除く)。EBシリーズ3機種の本体サイズは472(幅)×320(奥行き)×135(高さ)ミリで、重量は6.7キロ(EB-4950WU)だ。
サイズが大きな常設型のプロジェクターは、設置場所や用途が限られるためモバイル向け/ビジネス向けプロジェクターなどと比べれば市場規模は小さい。なぜ今常設型プロジェクターのラインアップを強化するのか。その販売戦略について、エプソン販売 VIMD部部長の久保厚氏が説明した。
久保氏はまずプロジェクター市場の概況について「2012年度は好調に推移している。2011年度は大震災で消費が落ち込んだこともあるが、2012年度は昨年対比で110%以上の伸長が見られる」と述べた。エプソンはプロジェクター市場において17年連続でシェア1位を維持しており「2013年度はシェア60%を目指す」(久保氏)とこの分野では強い。
その一方で、常設型のシェアは12%(2012年4月〜2013年1月において、富士通キメラ総研のデータをもとに推定)と全体のシェアに比べて低い。「常設型は単価や利益率が高く、金額ベースでの市場規模は大きい。現状はまだ12%だが、逆に言えば88%伸ばせる余地があるということ。今後は常設型のラインアップ強化を通じて、シェア増加を狙う」(久保氏)
エプソンは2012年2月に常設型モデルのラインアップを増やしたが、これにより2011年度比で約3倍のペースで販売台数が伸びているという。従来、会議室や大学の講堂くらいだった販売チャネルもイベント貸し出し(プロジェクションマッピングなど)用のチャネルを確保し、更なる売り上げ増加を狙う。「2013年度のシェア目標は決定していないが、(12%から)25〜30%ぐらいまで引き上げることを目標にしたい」(久保氏)。今回発表した9機種の販売目標は1年間で5000台としている。
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