「ずっとこのままでいいのかなあ」――モヤモヤした気持ちに決着をつけるボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/2 ページ)

最近は、「前向きに考えよう」「意識を高く持とう」などといったポジティブ系の情報がたくさんあります。しかし「ずっとこのままでいいのかなあ」という気持ちを抱いていたなら、一度、頭の中にぼんやりとある気持ちを外に出して、突き詰めて考えてみてはどうでしょうか。

» 2013年07月25日 10時30分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。

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 私はメールマガジンを発行しているのですが、この間「ずっとこのままでいいのかなあ」というタイトルのメールマガジンを送ったら、

 「今、まさにその状況だ」

 「本当は技術者として働きたいのに、マネジメント的な仕事ばかりで悶々としている」

 「今までのスキルやキャリアを生かして次のステップを考えたいが、答えが出ない」

 など、多くの人がコメントを寄せてくれました。それだけ「ずっとこのままでいいのかなあ」と思っている人が多いのでしょう。

 中には、キャリアカウンセラーに相談した人もいました。しかし「一部上場企業で収入も安定しているんだから我慢して勤めればいいんじゃない?」というカウンセラーの発言に、「そんなことは分かっているよ。それでも、ずっとこのままでいいのかなあと思うから相談したんじゃないか!」と、怒りにも近いコメントを寄せてくれた人もいました。

「ずっとこのままでいいのかなぁ」と不安になる理由

 「ずっとこのままでいいのかなあ」と思うのは、その背景に「本当にやりたい仕事は○○だ」「もっと自分を磨きたい」というような向上心や本音があるからこそ。ですから、そう思うこと自体は悪いことではありません(むしろ、大切にしてください)。

 しかし「あの感覚」はモヤモヤした気持ち悪さがあるので、スッキリしたいのですよね。私も経験があるのでよく分かります。では、どうしたらあのモヤモヤした感覚を晴らせるのでしょうか。

 このようなとき、「目標を持とう」とか「目の前にあることに取り組むことで見えてくる」という情報もありますが、そもそも、目標を持てていればモヤモヤしないでしょう。目の前にあることに取り組むことで一時的に気は晴れるかもしれませんが、根本的な解決にはならないかもしれません。

「ずっとこのままでいいのかなあ」は、どっちつかずのてんびん状態

 「ずっとこのままでいいのかなあ」とモヤモヤするのは、「本当は○○したい。でも、現実は……」というように、いろいろな損得をてんびんにかけて、どっちつかずの状態になってしまっているからです。

 例えば「本当は技術者として働きたいのに、マネジメント的な仕事ばかりで悶々としている」パターンでは、「技術者として働きたい」と、「マネジメント的な仕事をすべきだ」をてんびんにかけています。本来なら「技術者として働きたい」のほうに重りをのせて、てんびんを大きく振りたいのに「マネジメントの仕事を断ると、将来に影響するのではないか」「30代になったら、マネジメントの仕事もしたほうがいいのではないか」「ここでマネジメントの仕事を引き受けなければ、会社をクビになってしまうのではないか」「独立も考えたいけれど、失敗してしまうのではないか」など、さまざまな重りを反対側に乗せてしまいます。

 てんびんがどっちつかずの状態になっていることを意識できていればいいのですが、通常はぼんやりと、無意識に重りを反対側に乗せてしまっています。だから気持ちの中でどんな葛藤が起こっているのかを把握しないまま。結果、なんとなくモヤモヤしてしまうのです。

「どっちつかず状態」をどちらかに大きく動かす

 どっちつかずの状態になっているてんびんをどちらかに大きく動かせば、モヤモヤは整理できます。そこで、無意識にかけている損得のてんびんを可視化するワークをしてみましょう。

 まず、てんびんの絵を書きます。その上に「何と何をてんびんにかけているのか」を一言で書き出します。そして、てんびんにかけている重りが何なのかを付せんに書き出し、実際にてんびんに重りをのせるかのように1枚ずつ貼り付けていきます。

 5W1Hの視点で、また「ワクワクする」「楽しい」「不安」「悲しい」など、そうなることでどんな感覚を抱くのかなどを具体的に書き出してみるといいでしょう。ポイントは「思いつくまま」「何個でも」「本音で書く」ことです。誰に見せるわけではないので、自由に書き出してください。

 頭の中にあることを外に書き出してみることによって、何をてんびんにかけているのか、その重りは思い込みではないか、自分にとって何が大切なのかなどが見えてきます。気持ちの上でどんな葛藤があるかを可視化するだけでも、頭の中を整理できるでしょうし、実際に付せんを貼る作業の中で、てんびんにかけている重みを身体感覚として感じられるかもしれません。

 てんびんを望ましいほうに動かしたいと思ったら、さらにどんな重りがあればいいのかを考えて書き出し、貼り付けます。逆に、望ましくないほうに載っている「だろう」「かもしれない」「はずだ」のような、思い込みの重りを取り除き、てんびんを調整してみてください。

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