30歳までに死に物狂いで頑張れば、実力と結果を残すことができ残りの人生を利息で生きていける。では、それができなかった人は……?
「30歳までに芽が出なかったら、もう駄目だな」――。私は若い社員に冗談っぽく言う。冗談と受け取っている社員もいるだろうが、実は十分本気である。
『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝』というコミックにいい言葉が書かれていた。
「30過ぎたら利息で暮らせ」
つまりは、30歳になるまでに元金となり得るだけの実力と結果を残し、30歳を過ぎたら、その能力だけで生きていけるということだ。
30歳までといえば、大学を出てから8年足らず。まさに死に物狂いで頑張らなければ元金となる実力と結果を残すことはできないだろう。ただ、それができれば、残りの人生を利息で生きていける。
私が30歳までと言っているのは、頭の柔らかさや動きの早さ、吸収力などから考えて目安として30歳と言っている。それを超えると、頭も硬くなり、プライドなど余計なものも付いてきて動きも悪くなる。成長の足枷が増えてしまう。
ただし、「うっかりと30歳を超えてしまったら、もう遅い!!!」
とは必ずしも思わない。20代はまだまだ未来に向けて頑張れるが、30歳を超えてくると結構未来が見えてくるもの。年金制度もどうなるか分からない。それどころか、ほぼ破綻している。生活保護も年金との兼ね合いの中、減らす方向へ動いている。
独立しようにも、そんな能力があればそもそもこんなことは考えなくていい。将来の生活はどうなるんだろう? と不安に思う人は、非常に多いはずだ。
そういう人は、自分に自信を持つために変わってみる必要がある。まず何をすればいいのか? それが分からない人も多いはず。地道に会社の仕事をしこしことやり続けることで解決するはずがない。それほど、難しいことをせずに変われる方法がある。
「物事を天界から見ること」
つまりは視点を上げることだ。バスケやサッカーでいう「イーグルアイ」というものだろうか。
仕事をしていると、人はそれぞれの小さなパーツの仕事をしているため、ついつい近視眼的になる傾向がある。それではいつまでたっても全体を見ることはできない。全体を見るためには、上から物事を見なければならない。
では全体を見ると何がいいのか? さまざまな問題や物事に対する解決策が、経営者視点で発信できるようになる。つまり、経営者の参謀になりうる能力を身に付けられるということだ。
例えば自分が経理であれば、銀行からお金を借りる行為は、「キャッシュ不足だから借りる」という発想しか生まれないかもしれない。しかし、天界の視点であれば「会社の拡大のためにはキャッシュが必要。そのために借入が必要」という発想も生まれる。
例えば、会社がうまくいっているにもかかわらず経営者がうまくいきそうもない新規ビジネスをやりたがる。
「うまくいくはずがないから、止めた方がいい」
としか思えない。しかし天界の視点であれば、
「1つの事業が永遠にうまくいくはずがない。
ポートフォリオ的にいくつかの事業を展開する方が会社の安定感が増す」という発想も生まれる。
こうした天界の視点はどうすれば身に付くのだろうか? 何か問題や物事に対したとき、まずは大きく息を吸って落ち着くことが大事。何かが起こったときの人間の頭は、勝手に動き出し、余計なことを考えてしまうからだ。
そしてすべてを取っ払って真っ白にすることが大事。次に、神様になったつもりでその問題、物事を見るだけ。
「何だ! その神様になったつもりの言葉は!」と思った読者は多いと思う。神様が難しければ、好きなマンガやドラマの登場人物、歴史上の人物でもいい。自分がこういう人になりたいモデルを1人頭に浮かべ、その人になったつもりで、その問題や物事に対してみよう。
例えば、『銀河英雄伝説』という小説のラインハルトやヤン・ウェンリーなら、こんなときどういう風に考えるだろう? 彼はあのとき、こういう風に解決したからきっとこうするだろうと頭の中で展開するのだ。
また宮城谷昌光氏の『孟嘗君』という小説の白圭なら、こんなときにどういう風に考えて、どういう言葉を発するだろう? 「彼はあのときこういう風に解決したから、きっとこうするだろう」と頭の中で展開するのだ。
「バカらしい!」と思った読者も多いかもしれないが、一度やってみるといい。
必ず自分が変わっていくはずだ。
これは、ある程度、自分が背伸びをしている状態だ。その背伸びが普通になるためには、自分に足りないこともこの背伸びによってやるべきことが見えてくる。そうしたら、それをまた勉強すればいい。
これを繰り返すことが、今いる会社にとって、社会にとって、有用で必要な人間になるということにつながるのだ。
間違いなく、人は変われる。あきらめさえしなければ!
※この記事は、誠ブログの細島誠彦ブログ【参謀の戦略眼】:冴えないままに30歳を過ぎてしまったサラリーマンが考える、これからの働き方より転載、編集しています。
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