正直すぎて信用を失う前に――「スーパー正直」な起業家に贈る「ハッタリ」のテクニック

ビジネスに信用は欠かせないが、正直すぎても仕事を失うことになりかねない。正直とハッタリを両立させるにはどうしたらいいのか。そのテクニックを紹介するのが、この書籍だ。

» 2014年05月12日 11時00分 公開
[波多野謙介,Business Media 誠]
誠ブログ

 ビジネスに「信用」は欠かせない。起業家にとって、正直さや公正さが必要な資質であることは間違いない。しかし、正直すぎるあまりに、社内事情や取引先とのやり取りなど、言う必要がないことまで話してしまったのでは、逆に信用を失いかねない。

 また、“言いたいことをすべて伝えたい”という思いが強すぎて、細部にいたるまで正確に話してしまうのも問題だ。それはたくさんの注釈付き文章のようになり、分かりにくくなってしまう。つまり正直さには加減が必要ということだ。

 どこまで加減したらいいのか分からない――。そんな「スーパー正直者」の起業家に贈りたいのが、今回紹介する『スモールビジネスマネジメント』という書籍だ。

『スモールビジネスマネジメント』 『スモールビジネスマネジメント』(デブラ・クーンツ・トラベルソ著|阪本啓一訳/翔泳社)

 この書籍は、僕がある会社を辞める時に元同僚から贈られたものだが、スーパー正直者の部類に入る僕にとって、本当に役立つものになった。

 本書は、デブラ・クーンツ・トラベルソというコンサルタントが書いたもので、特に正直者向けに書かれたわけではない。起業したばかりの会社やSOHOが、大企業の提供する商品やサービスを相手に生き残っていくためのノウハウをまとめたものだ。

 ただ、おそらく著者がスーパー正直者の部類に入ると見え、具体的にハッタリを重視したテクニックが書かれているのが面白いところだ。

 ここで、本書の中で僕の好きな箇所をいくつか引用してみる。

「いつでもオーケー」はやめよう

 打ち合せの日時を決めるとき、手帳も見ずに「来週ならいつでもいいですよ」と言ってはいけない。「他に仕事がないのか」と思われる。代わりに手帳を取り出して指を走らせ「月曜日であれば、1時から3時、木曜日なら9時から11時のあいだならお目にかかれます。ご都合はいかがですか?」と言おう。

 ほとんどの人は、暇で仕事がない人より、人気があって引く手あまたな人と仕事をしたいと思うだろう。たとえ起業直後でスケジュールがガラガラだったとしても、それを顧客に分からないようにした方が良い。

仕事をもらったことを過度にありがたがらない

 「このところ仕事がなかなか進まなくて……。だからこの仕事はとてもありがたいです」――。この真正直さは爽やかかもしれないが、相手から見れば、仕事がなく、がつがつしているように映る。これは得策とは言えない。

 まったく感謝しないのも良くないが、ありがたがりすぎるのも良くない。スケジュールのテクニック同様、暇だと思われないようにする必要がある。

 これに関連して、顧客にはポジティブな面をできるだけ伝え、ネガティブな表現を避けて話すよう努力したい。ビジネスの達人にとって当たり前のように思えるこんなことも、スーパー正直者にはなかなか思いつかないものである。

説明しすぎや、謝罪などに時間を使いすぎない

 これらは、あなたの自信と力強いイメージを台無しにすることになる。簡潔で、事実に基づいた説明による自信あふれるボディランゲージは、あなたが最も望んでいる結果への近道だ。

 欠点を把握することで安心する顧客も多いので、欠点を伝えること自体は悪くないが、スーパー正直者は「触れる」だけでなく、説明を増やして欠点をフォローしようとする傾向がある。

 しかし、それは単なる時間の無駄づかいにすぎない。それよりも、顧客にとって、自社製品やサービスを採用した方がトータルでメリットとなるのであれば、弁解のために言葉を増やさず、自信ある振る舞いをした方が、お互い満足な結果になるだろう。

「正直さこそ最高のビジネス・ポリシー」

 この著者の基本的なスタンスは「正直さこそ最高のビジネス・ポリシー」であるというものだ。例を挙げよう。ある人が、あるクライアントに対して嘘をつくように言われた。著者がその人に対して行ったのは、次のようなアドバイスであり、そのアドバイスは非常に的確に「正直であることの大切さ」を捉えたものである。

 「私だったらそうしないと思います。私なら『私はあなたのために、嘘はつきません。もし、ここで嘘をつけば、あなたは、私があなたに対しても嘘をつけると思うから』と伝えるでしょう」。

 嘘と、「話し方」や「ハッタリ」のテクニックは違う。これはビジネスにおいてどれほど経験豊富になり、雑多なテクニックを身につけたとしても、しっかり心に留めておくべきだろう。

 この本は、2001年に発刊され、現在は販売が終了している。なぜ今さら取り上げるのか、と思われるかもしれないが、最近関わった新サービスの立ち上げ時に、改めて読み返したことから書くことにした。

 今回は“正直すぎる起業家向け”に書いたため、「ハッタリのテクニック」限定で抜粋したが、この本は本来、「小さな会社が大きな会社のサービスに対抗して生き残っていく」ためのさまざまなテクニックや考え方を具体的な例とともに示す、素晴らしい一冊である。

※この記事は、誠ブログ本当は面白い、BtoBソフトウェアベンダー生活記:正直過ぎる起業家に贈る「ハッタリ」のテクニックより転載、編集しています。

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