社長に問われるのは「究極の実行力」選ばれ続けるリーダーの条件(1/4 ページ)

マネジメントの世界で「選ばれる」が続くと、最終的には社長に行き着きます。社長ほど大変なものはありませんが、面白いものもありません。ぜひ人生で一度は社長というポジションを経験してほしいと思います。社長にしか見えない世界が、そこにはあるからです。

» 2014年01月24日 11時00分 公開
[山元賢治,Business Media 誠]

集中連載「選ばれ続けるリーダーの条件」について

 本連載は、山元賢治著、書籍『選ばれ続けるリーダーの条件』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。

グローバルの波の中で、仕組みや慣習もものすごいスピードで変わっていきます。日本企業のあり方や個人の働き方も、従来のままではいられない。刻々と変化する世界で、変わらず求められる真のリーダーの条件とは何か? 外資系トップ企業で30年活躍した経験を、次世代のリーダーに伝える1冊です。

アップル、オラクル、IBMやEMCなど、30年間外資系トップ企業で働き、ビジネス界の巨人と肩を並べてきた山元賢治氏が大切にするのは、誰からも「選ばれる」人が持っているルールです。

「選ばれる人は、目先のテクニックに走らず、もっとも守るべき“原則”を理解し、日々実践できるかどうかで決まる」

未来のリーダーを目指す人、リーダーとして頼られる人間になりたい人に読んでほしい1冊です。


起業には「やるべきこと」をやる使命感が必要

 私は現在、山元塾という私塾を運営するとともに複数社のベンチャー企業の顧問をしており、同時に複数の企業に投資もしています。これまで多くの起業家に会ってきましたが、投資する起業家を選ぶ際にポイントにしていることがいくつかあります。

 1つは、起業だけでなくどんなビジネスにも欠かせないことですが、「やれること」ではなく「やるべきこと」に取り組もうとしているかどうかです。

 社会にとってでも自分にとってでもいいのですが、「これをやるべきだ」という強烈なミッションを持って取り組もうとしていることが第一です。

 ファッション感覚で今とりあえずやれることをやって起業しても、まず成功しません。プログラマーに多いのが、自分の作れるソフトでとりあえず起業してしまうパターンです。それができたとしても、いったい誰が買うのか分かりません。

 同じく「会社に入るのが嫌だから」「会社が嫌になったから」という逃げの起業も、成功しないことが多いでしょう。

 当人に「やるべきこと」があって初めて、「なぜあなたがやるのか」「なぜこのタイミングなのか」「なぜ日本でやるのか」という続きの質問をすることができます。やるべきミッションを持ち、この“Why”を論理的に考えられている起業家は魅力的です。

 それだけでは充分ではありません。起業するということに並々ならぬ情熱を持っていることが大切です。情熱というより、情念、執念といったほうがいいかもしれません。

 最初にスタートしたビジネスモデルがうまく軌道に乗ればそれに越したことはありませんが、うまくいかないとき、雲行きがあやしいと思ったときに、突き抜ける起業家は次のアイデアを必ず持ってきます。成功した起業家が「成功するまでやったから成功した」とよく言いますが、それは真実です。

 起業すると、銀行が金を貸してくれない、信頼していた仲間が出て行ったなど、それこそ壁の連続です。そうした壁を乗り越えていく情念が必須です。

 私が基本的に若手起業家にしか投資しないのもそのためです。シニアになると、家庭の事情とか家のローンとか、もう1回就職するだけの理由がたくさんあります。言い訳ができてしまいます。

 「ダメだったら、どこかに雇われればいいや」と逃げ道を用意している人は、壁に当たったときにどうしても腰が引けてしまいます。必ず乗り越えるという執念に欠けます。そうすると、自然と成功は遠ざかります。

 日本企業、また個人としての日本人も、新しい製品になかなか手を出さない傾向があります。ですから、ベンチャー企業では営業力が鍵になります。

 会社が始まった瞬間、自分より年上の担当者に売り込みをかけることになります。しかし、起業のときは若い仲間だけで始めようとするケースが多く、概して営業力がありません。ここで失敗するのが典型的なパターンです。

 また、組織というものの性質が分からず、人の問題に対処できないこともよくあります。技術者2人で起業したのはいいものの、人を雇ったら組織がボロボロということも珍しくありません。仲間内で固まるのではなく、営業マンと組織運営の経験がある年上の人間を雇うくらいのしたたかさを持ってください。

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