社長に問われるのは「究極の実行力」選ばれ続けるリーダーの条件(3/4 ページ)

» 2014年01月24日 11時00分 公開
[山元賢治,Business Media 誠]

社長は「究極の実行力」が問われる

 マネジメントの世界で「選ばれる」が続くと、最終的には社長に行き着きます。

 社長とナンバー2は似たようなポジションに見えるかもしれませんが、まったく違います。簡単に言えば社長は、「給料2倍、仕事10倍」です。責任と仕事量に比べ、それほど給料はもらえません。

 それに引き換え、ナンバー2は楽しめるポジションです。会社のことがすべて見える立場にいながら、責任は社長ほどは重くありません。社長もナンバー2が楽しんでくれているのが分かりますし、そのほうが無理も言えるので、ナンバー2のうちは存分に楽しんでいいと思います。私が初めてナンバー2になったのはEMCジャパンの副社長を務めたときでしたが、数字のゲームに集中して、ある意味「イケイケ」の状態で仕事をしていました。

 ちなみに、このときは「社長だけは絶対にやるまい」と思っていましたが、人生何があるか分かりません。スティーブ・ジョブズに声をかけてもらい、その情熱と人柄に魅せられて「この人の役に立てるなら」とアップル・ジャパンの社長を引き受けることになりました。

それでも、社長は面白い

 社長ほど大変なものはありませんが、社長ほど面白いものもありません。「絶対にやるまい」と思っていた私ですが、そこまで行けるチャンスがあるなら、皆さんもぜひ人生で一度は社長というポジションを経験してほしいと思います。社長にしか見えない世界が、そこにはあります。

 社長をやってしまうと、社長以外のポジションはつまらなくなってしまうはずです。

 謙虚に言えば、社長になってもまだまだ勉強だという言い方もできます。ナンバー2のときとは違った社長ならではの人脈もできますし、もちろん学ぶこともあります。

 しかし社長になったら成長というステージではなく、それまで身につけたことをもとに究極のエグゼキューション(実行力)を発揮することになるというのが私の実感です。

 それまでは、専務であっても取締役であっても、最終決定者ではないもどかしさがどうしてもつきまといます。「こうすべきだ」と思っても、自分の責任範囲外にあるものに関しては条件をつけられたり、承認が必要だったり時間がかかったりします。ナンバー2まではこの繰り返しです。

 それが社長になると、社内のすべての事柄について自分が最終決定者になることができますし、また最終決定者にならなければなりません(ここでは取締役会議での決定などが必要になる上場大企業の話は複雑になるので範囲外とします)。自分がどの案件にどれくらい関わるかも、すべて調節することができます。

 自分のエグゼキューションで会社のすべてが決まる緊張感、そして面白さは何事にも替えられません。自分の意思で全部のゲームを動かせるのですから、面白くないはずがありません。

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