セット販売とともに「音声通話」もできる料金プランが増えてきた。これまでの格安SIMといえばデータ通信専用サービスがほとんど。通話をするなら「050」から始まるIP電話を使うしかなかった。
IP電話は通話料が無料になったり、安くなったりするメリットもあるのだが、新しく付与される「050」番号を周知する手間がかかるほか、110番や119番といった緊急通報用の電話がかけられないという不安もあった。
しかし、「090」「080」から始まる電話番号が使えるプランであれば、もちろん緊急電話もかけられるし、それまで使っていた電話番号をMNPを使って引き継げるという大きなメリットもある。
データ通信用の料金プランよりは高くなるが、それでも大手キャリアの料金プランより安上がりだ。以下に安価な音声通話プランを用意する主な格安SIMサービスをまとめた。
提供会社 | 日本通信 | ソネット | ケイ・オプティコム | IIJ | U-NEXT | NTTドコモ(参考) | au(参考) | ソフトバンク(参考) |
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サービス名 | スマホ電話SIM フリーData | So-net モバイルLTE +Talk | mineo(デュアルタイプ) | みおふぉん(ミニマムスタートプラン) | U-mobile*d ダブルフィックス | カケホーダイ&パケあえる(データSパック) | LTEプラン&LTEフラット | ホワイトプラン&パケットし放題フラット |
データ通信 | 1560円 | 2200円 | 980円 | 900円 | 680円 | 3500円 | 5700円 | 5700円 |
音声通話 | データ通信に含む | データ通信に含む | 610円 | 1000円 | 980円 | 2700円 | 934円 | 934円 |
月額料金合計 | 1560円 | 2200円 | 1590円 | 1900円 | 1660円 | 6200円 | 6634円 | 6634円 |
30秒あたりの通話料 | 20円 | 20円 | 20円 | 20円 | 20円 | 0円 | 20円 | 20円 |
無料通話分 | なし | 500円 | なし | なし | 未定 | なし | なし | なし |
データ通信専用の格安SIMが月額1000円前後なのに対して、音声通話があるプランは月額1500〜2000円前後。通話料自体は安くはないが、データ通信と組み合わせて使ったときの合計額が低く抑えられている。大手キャリアでは、事実上、必須となるデータ通信のパケット定額オプションによって月額料金が非常に高くなるので、「通話も通信も少なめ」という人には格安SIMがお勧めだ。
ただし、格安SIM側にも落とし穴はある。留守番電話サービスが有料など、通話関連のオプションサービスの対応が各社で異なっているうえ、音声通話が使える代わりに利用期間によって解約料が発生する。
また、大手キャリアの場合には、2年間程度の割引サービスや同じキャリア間の無料通話オプションがあり、新たに通話し放題プランも登場した。通話が中心であれば大手キャリアを使ったほうがお得になることもある(次回、詳細に報告したい)。
そして最後に注目したいのは、「ヘビーユーザー」向けの格安SIMだ。通信費の節約という視点で考えると、通信量の上限はどうしても下がってしまう。例えば、格安SIMでは「LTEの高速通信が使えるのは1Gバイトまで」というプランが主流だ。通信量が無制限のプランもあるが、こちらは通信速度が遅い。
一方、大手キャリアの料金プランでは、月額利用料が高いものの通信量の上限は7Gバイトと余裕がある。結局、ヘビーユーザーは大手キャリアを選ぶことが多い。
そんなヘビーユーザーを取り込もうと、格安SIM会社も通信量上限を2〜3Gバイトに増やしたプランを展開している。さらには大手キャリアと同じ上限7Gバイトのプランも登場している。
例えば、「OCNモバイルONE 500kbpsコース」(上限7Gバイト)は、500kbpsという低速通信を使うことで月額料金を安く抑えている。しかし、この500kbpsというのがポイントで、一般的に低速と言われる100〜200kbpsよりは速いのだ。
また、エキサイトの「BB.exciteモバイルLTE 4GBコース」や「BIGLOBE LTE・3G」では、3枚のSIMカードを使い分けられるので、家族でシェアすることも可能だ。どちらも格安SIMらしい面白いプランだと思う。
大手キャリアのパケット定額が月額6000円を超えることを考えれば非常に安く感じるだろう(音声通話同様、各種割引サービスを考慮すると一概に「安い」と言い切れないが)。
提供会社 | ビッグローブ | NTTコミュニケーションズ | ニフティ | エキサイト |
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サービス名 | BIGLOBE LTE・3G スタンダードプラン | OCNモバイルONE 500kbpsコース | @nifty do LTE スタンダードにねんプラン | BB.exciteモバイルLTE 4GBコース |
月額料金 | 3790円 | 1800円 | 3350円 | 2860円 |
最大通信速度 | 150Mbps | 500kbps | 150Mbps | 150Mbps |
通信量上限 | 7Gバイト | 7Gバイト | 5Gバイト | 4Gバイト |
日本通信が2014年4月から始めた「b-mobile X SIM」になると、プランI(1カ月1.01Gバイト)、プランN(1日51Mバイト)、プランB(1カ月2.2Gバイト)という3プランを毎月選べるという仕組みを取り入れた。柔軟な使い方ができるうえ、各プランの通信量の上限が競合他社のプランよりも多いという設定だ。
格安SIMサービス事業者の競争は激化しており、各社が競って差別化を図っている。その中から新たなユーザーにアプローチできる格安SIMサービスが登場し始めているのが2014年のトレンドと言えそうだ。
次回は、新しい料金プランや通話品質、充実のサポート体制でユーザーの獲得を目指す大手キャリアの動向を見てみよう。彼らはどのように格安SIMの価格に挑戦していくのだろうか。
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