フランクルは、自分が進歩している感覚、成長している感覚を手にすることができるかどうかは、自分にどんな仕事が与えられるかによって、すべて決まるものではないと言います。
与えられた仕事に、自分がどんなふうに関わっていくか、それによって自分が成長できるか否かは大きく左右されるからです。
あなたに与えられている仕事がどんな仕事でも、それを自分が成長するための機会に変えることができるかどうかは、あなた自身の手にかかっているのです。
私たち人間の生きる意欲が最高に駆り立てられるのは、自分の人生に自分のことを「待っている何か」があることを意識したときだ、とフランクルは言います。
自分のことを「待っている何か」がある。「自分にしかできないことがある」という意識。
私のことを「待ってくれている誰か」がいる。「愛する人が私のことを必要としてくれている」という意識。
そういう意識ほど、人間の生きる意欲を強く駆り立てるものはありません。
毎日がただ同じことのくり返しで、「自分なんか生きていてもいなくても同じだ。自分がたとえ明日、命を絶っても、また次の日も次の日も同じように地球は回っていく。自分がこの世に存在しようとしまいと、それは大きな意味を持たない」と感じながら、日々を生きている人は少なくありません。
そんな人に対して、フランクルはこう訴えます。
各個人がもっている、他人によってとりかえられ得ないという性質、かけがえないということは、――意識されれば――人間が彼の生活や生き続けることにおいて担っている責任の大きさを明らかにするものなのである。
待っている仕事、あるいは待っている愛する人間に対して持っている責任を意識した人間は、彼の生命を放棄することが決してできないのである。
(『夜と霧』)
どんな人のどんな人生にも、その人を「待っている何か」がある。どんな人のどんな人生にも、その人を「待っている誰か」がいる。そのことをもう一度、改めて思い起こしてください。
そうすると、「自分なんていてもいなくても同じだ」という意識は、生まれてこなくなるはずです。
その仕事をあなたにとって成長の機会にできるかどうかはあなた次第です。
成長のチャンスになるか、無駄な時間になるかはあなたの手にかかっているのです。
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