タスクだかメモだか分からない「タスクメモ」をどうするか:あなたの不安、見積もります
タスクだかメモだか分からない、その中間にあるような「タスクメモ」。メモに埋もれてタスクが分かりづらくなってしまうので処理には注意が必要です。
常に減らすよう努力はしているので最近はめったに困らなくなっているのですが、時々どうしようもなく現れてしまうものがあります。タスクだかメモだか分からない、その中間にあるような「タスクメモ」です。
私の場合そのような「タスクメモ」が多く現れるのは、書籍原稿の打ち合わせの時です。先日もまさにそういったことがありました。「この原稿にはけっこう脚注が必要ですね。ゲラになおしたら脚注を入れる個所を検討しましょう」。
至ってまっとうな提案なのですが、この提案をどこに書き留めておくかは、そう容易には決まりません。私は一応モレスキンノートに「脚注を入れる個所を検討する」と書き留めました。しかしそのままにしておくのは危険なので「Evernote」に転記しようと思ったとき、ふと手が止まりました。
タスクをログに入れるな
「脚注を入れる個所を検討する」と言っても、
- 誰が検討するのだろう?
- いつ検討するのだろう?
仮に私が検討し忘れれば、担当の編集さんが検討してくれて、赤ペンで「ここへ脚注を入れてください」と指摘してくれるのでしょうか。確かにそれもあり得ます。しかし、もしかして両者ともに忘れてしまって「脚注が必要」なはずだった書籍が脚注なしに刊行されてしまうかもしれません。残念ながらそれもありそうな気がします。
打ち合わせの席でモレスキンに書いたことの大半は「メモ」のまま。そういう意味では「打ち合わせログ」としてEvernoteにまとめて転記しておくのが妥当なのですが、その中に1つでも「タスク」が混じっていると、ログの中に隠れてしまって結果的に意外に困ったことになるわけです。
分けたタスクにログを付ける――Evernoteリンクが便利
というわけで「脚注を入れる個所を検討する」を「Omnifocus」に入れて、ある期限で自動的に通知してくれるようにしました。これはこれでいいのですが、これだけがポツンとあるのもいかにも唐突です。実際にこのタスクを見るころにはなぜこんなタスクがあるのか忘れてしまっていて不思議はありません(何しろ、最近は3日前に自分で書いたタスクのことを完全に忘れていたりしますので……)。
こういう問題に対処するために、打ち合わせのログの中にこのタスクを入れておいて、そのタスクの前にEvernoteのチェックボックスを打つという手もあります。しかし、Evernoteのチェックボックスは期限で通知はしてくれないので、絶対に思い出せるという保証がなくなります。
こうした問題に対処するためにEvernoteのリンクを使うという方法を書いた事があります。つまり「脚注を入れる個所を検討する」というタスクをOmnifocusで用意しそこにEvernoteに転記した打ち合わせノートへのリンクを張るわけです。これは非常に便利です(ただしEvernoteへのリンクをOmnifocusへ張ると、日本語は文字化けしますので、アルファベット表記がオススメ)。
“相互リンク”を張る
その上で、逆にEvernoteの該当ノートにも、Omnifocusの該当タスクへのリンクを張っておくと完璧。いわば自分が使っている、2つのアプリ間で相互リンクを張るわけです。
こうしておくことによって、Omnifocusの方から期限日にプッシュ通知を受けるタイミングで思い出すか、もしくはEvernoteの打ち合わせログを見返したとき、やるべきタスクが発生したということを思い出すことも可能になります。それがどんな文脈で発生したのか、タスク管理ツールからでも資料管理ツールからでも飛んでいくことができるというわけです。
あらゆるタスクについてこんなことをするのはさすがに面倒ですが「このままだと埋没して忘れそうだ」というようなあいまいな「タスクメモ」についてだけでも、タスクとしてもメモとしても認識できるようにしておくと、あとあとし忘れが発生しにくくなるし、「資料を探すのが面倒」という事態に陥らずにすみます。
資料はEvernoteで一括管理したいけど、タスクは……
ところで、わざわざこんなことをせず、Omnifocusに資料内容も全部貼ってしまえばいい、思われるかもしれません。私も以前はそうしていました。しかし今はEvernoteへのリンク機能があるのですから、やはり資料はEvernoteに一元化したいのです。そしてタスクはEvernoteに入れたくないのです。
私達は非常によく忘れます。入力時には考えられないほど、時が経った後の記憶というのはあてになりません。Omnifocusに資料を入れておいても、99%の資料はEvernoteにはいっているので決して資料を探さないのです。期限が来てタスクを思い出したときはともかく、それ以前に打ち合わせの資料が必要になったときには、ひたすらEvernoteを探すでしょう。
タスクがあったことも同じです。期限が来るまでタスクがあったことは思い出せずともいいといえばいいですが、何らかの形で打ち合わせの資料を再チェックしたとき(例えば期限前にまた打ち合わせをするといったとき)Evernoteからタスクを確認したいものです。だから相互リンクを張り付けておくのには十分な意義があるのです。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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