手帳と時系列のメモ、両方に使えるダイアリー「gra-dule System」:手帳2013
高島屋とフジカがコラボレーションして作った「gra-dule System」は、手帳とノートがセットになった製品だ。一見新しいが実はオーソドックスで、それ故に今までなかった。どこに工夫があるのか見ていこう。
手帳において悩ましいのは、それが時系列のメモでもあることだ。手帳の予定記入欄とその周辺に書いた情報は、時間が過ぎると再利用するのが面倒になる。意識して手帳の見直しを習慣にしている人なら問題はないかもしれないが、過去のメモページに書かれた情報をどう活用するかは、手帳のユーザーにとって積年の課題でもあった。
例えばレフト式の手帳は、週間予定欄の右ページをメモにすることで、予定と情報の双方を一覧できるのが利点だ。一方で、その週が終わってもその情報が必要なら前のページを見返す必要が出てくる。
「超」整理手帳の場合は、予定記入欄とメモを完全に分離してこの問題を解決しているが、予定記入欄自体の絶対的面積が小さいという面で好き嫌いが分かれる製品でもある。
手帳のこのような問題を解決しようとしているのが、高島屋とフジカがコラボレーションして作った「gra-dule(グラデュール) System」だ。ダイアリーと方眼ノートがセットになった製品である。以下、詳しく見ていこう。
インデックス付き月間ブロック+方眼メモ
gra−dule Systemは、以下の3点で構成している。
- 月間ブロック型のダイアリー
- 方眼ノート
- この2冊がおさまった透明なカバー
手帳は月間ブロックだけだが、インデックス記入欄を持っている。またノートはページごとにページ数が記されている。なので月間ブロック型の手帳は、予定記入用というよりも、情報管理のインデックスとして活用することが想定されているのだ。
使い方としては、以下のようになるだろう。
まずダイアリー側にその日に作業などを書く。そしてそれに付随する情報やメモなどを方眼ノートに書いていく。書き終わったら、その情報がノート側の情報、すなわち何冊目の何ページかを月間ブロック欄の「vol page」欄に引き写しておく。
こうすれば、ダイアリーが情報のインデックスになる。どこに何を書いたのか、1カ月分が一覧できるのだ。
またノートは別売されていて、使い終わっても差し替えられる。方眼ノートの表紙右側中央には半円形の切り書きがあり、そこに何冊目のノートかを記入できるようになっている。
ToDoリストや予定欄としての活用も
gra-dule Systemは、このように情報を時系列で蓄積し、必要に応じて再利用しようとするときに威力を発揮する。専用のインデックス欄にきちんと書いておくだけで、手帳側が情報の目次になる。これはありそうでなかったアイデアだといえるだろう。
また、普通の手帳のようにも使える。例えば、方眼ノートを1日1ページの予定記入欄として使うのはどうだろう。マス目を生かしてチェックリストを作ったり、時間軸を引いてスケジュールを記入できる。予定やメモが複数ページに渡っても問題ない。手帳のインデックス欄にその旨を書いておけばいいからだ。
「月間ブロック+1日1ページ」タイプの手帳は何種類か販売されているが、こういう使い方ができるものはなかなかない。
ダイアリーのインデックス記入欄と、何冊目であるかのナンバー記入欄とページ番号を用意したノート。この2つをきちんと連動させ、索引として利用できるようにしてあるわけだ。
サイズもB6と大きすぎず小さすぎない。gra-dule Systemは、手帳としてだけでなく、手書きした情報のインデックスとして高い汎用性を持っている。
著者紹介:舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)
手帳評論家・デジアナリスト。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売
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