コミュニケーションには2種類ある:仕事に負けない、頭と心の整理術
コミュニケーションとは「自分以外の人との意思疎通」(対人コミュニケーション)と理解している人が多いと思います。しかしもう1つ重要なコミュニケーションの視点があります。それは……?
私はコミュニケーションの講座や研修をする機会があるのですが、受講者に「あなたにとってコミュニケーションとは何ですか?」という質問をよくします。
「自分の気持ちをうまく伝えること」「気持ちが通じ合うこと」などの答えが一般的で、コミュニケーションとは「自分以外の人との意思疎通」(対人コミュニケーション)と理解しているようです。仕事で考えてみると、上司、同僚、部下など、職場でのコミュニケーションがまさにそうです。
編集部からのお知らせ
職場で起こっているさまざまな問題を取り上げながら、メンタルを整えて「自分にとって働きやすい職場」を作っていくヒントを記したのが、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(竹内義晴 著)です。本連載では、同著の一部を加筆・修正し、掲載しています。
もう1つの視点、自分自身との意思疎通
私の意見では、コミュニケーションにはもう1つ重要な視点があるのではないかと考えています。それは「自分自身との意思疎通」(セルフコミュニケーション)。本当の自分の気持ちに気が付き、ねぎらい、癒し、自分自身を前向きな気持ちに導いていくことです。
つまり、コミュニケーションには「対人コミュニケーション」と「セルフコミュニケーション」の2つがあり、さまざまな課題を解決するためには、周りと自分自身とのコミュニケーションが重要なのです。
私たちはこれまで、自分自身とかかわりを持つことをあまり教わってきませんでした。教わってきたことといえば、親や先生、先輩、会社の上司がそう言っていていたように「わがままはよくありません」「抱いた気持ちはグッと我慢しましょう」「ネガティブな考えはよくありません」「もっと周りの人のことを考えなさい」など、自分の感情は抑え込み、周りの人のことを心配することが大切だ、というものです。
もちろん、周りの人の存在を大切に思うのはとても大切なことです。けれども、私は思うのです。最も大切なのは自分自身の存在ではないかと。自身が充実し、満たされているからこそ、周りの人に目を向けることができるようになるのではないかと。
本連載では以降、ネガティブな気持ちの中から自分にとって“本当に大切なこと”見い出し、あなたご自身のこころを癒し、満たすためのセルフコミュニケーション法。そして働きやすい職場を作っていくための対人コミュニケーション法についてお話ししていきます。
竹内義晴(たけうち ・よしはる)
1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。
自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。
米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。
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