携帯を鍵にして、個人情報をセキュアに配送〜ヤマトシステム開発(2/2 ページ)

» 2005年01月19日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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携帯電話を鍵に使うのがポイント

 デリバリ用BOXサービスのポイントはいくつかある。まず大きいのが、携帯を鍵にすることにより、物理的な鍵をやりとりすることなく、荷送人と荷受人とで1対1の関係を確立できることだ。荷送人、荷受人の携帯電話・PHSはキャリアを問わず使えるが、本人認証を電話番号で行うため、個人を特定できない固定電話やIP電話からは利用できない。

 次に、配達完了通知をリアルタイムに行えることだ。例えば現在ヤマト運輸の配送システムでは、配達完了すると配達員がハンディリーダーでバーコードを読み取り、そのデータを営業所に持ち帰ると、初めて配達が完了したことが分かる仕組みになっている。しかしデリバリ用BOXサービスでは、荷受人が鍵を解錠した瞬間にセンターに配達完了通知が届く。箱を開閉した時間や、開けた人の携帯電話番号は自動的に記録されるので、荷物のトレースがより迅速・正確になるメリットがある。万が一、荷受人以外の人が箱をこじ開けたような場合は、箱からセンターに異常を知らせる通知が届くので安心だ。

 もう一つ、通信モジュールを利用した位置情報を取得できることである。Webブラウザから、契約時に交付されるIDとパスワードでログインすると、各BOXがどこにあるか、地図に表示される。将来的には、オプションサービスとして、GPS機能を追加して、より高精度に荷物の位置確認ができるようにすることも検討しているという。

 実際に試してみたが、音声応答によるやりとりは時間もかかり、やや面倒だ。箱が一つならいいが、たくさんの箱を使う管理者向けには不便なので、Webブラウザから複数の箱を一括管理できる仕組みを開発しているという。

 また、このシステムで携帯電話を鍵とした理由について、同社では「携帯電話は、1人1台当たり前に持っているもので、確実に個人を特定できる有効な手段。そこで、配送時のセキュリティを高めるのに利用できないかと考えた」とする。

 デリバリ用BOXサービスは、4月より提供開始予定だが、2月からはヤマトグループ内の社内便で試用していく。なお、ヤマト運輸の個人向け宅配業務で、このシステムを使ったサービスを行うかどうかは、現在未定ということだ。

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